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空き地は貸した方が相続税対策になる?税理士がわかりやすく解説

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2026.10.02

「使っていない空き地があるのですが、貸した方が相続税対策になりますか?」

相続のご相談を受けていると、このような質問をいただくことがあります。

結論からいうと、空き地を貸すことで相続税評価額が下がるケースはあります。

ただし、「相続税が安くなるから、とりあえず貸せばいい」という考え方には注意が必要です。

土地を貸すことで得られる税金上のメリットだけでなく、賃料収入、管理の手間、空室リスク、将来の売却や利用のしやすさまで含めて考える必要があります。

今回は、空き地を所有している方が知っておきたい「土地を貸すことと相続税」の関係について、できるだけわかりやすく解説します。

1.空き地は貸した方が相続税対策になる?

空き地を他人に貸した場合、土地の利用方法によっては、何も利用していない土地より相続税評価額が低くなることがあります。

その理由は、土地を貸すと、所有者が自由に土地を利用できなくなるからです。

例えば、第三者に建物を建てる目的で土地を貸している場合、借主には一定の権利があります。

相続税の土地評価では、こうした借主の権利による利用制限が考慮される場合があります。

そのため、

「空き地のまま所有する」

のと、

「一定の条件で他人に貸している」

のとでは、相続税評価額が変わる可能性があります。

ただし、土地を貸せば必ず大きく相続税が下がるわけではありません。

土地の利用方法や契約内容などによって評価は変わりますので、「貸せば節税になる」と単純に考えないことが大切です。

2.そもそも相続税では土地をどう評価する?

相続税を考えるときに重要なのが「相続税評価額」です。

土地は、相続が発生したときの一般的な売買価格そのものを使って評価するわけではありません。

宅地の場合、主に「路線価方式」または「倍率方式」によって評価します。

ここで大切なのは、

「土地の値段」と「相続税を計算するときの土地の評価額」は同じとは限らない

ということです。

そして、その土地を自分で自由に使えるのか、他人に貸しているのかなどによっても、評価方法が変わることがあります。

つまり、空き地をどのように利用しているかは、相続税にも関係してくるのです。

3.土地を他人に貸すと「貸宅地」として評価される場合がある

例えば、土地を他人に貸して、その土地の上に借主が建物を建てているケースがあります。

このような土地は、一般に「貸宅地」と呼ばれます。

自分が自由に使える土地と違い、借主には借地権などの権利があります。

そのため、相続税評価では、その権利の存在を考慮して土地を評価します。

簡単にいうと、

「所有者の土地だけれど、自由に使える状態ではない」

という点が評価額に反映されるわけです。

これが、土地を貸すことで相続税評価額が下がることがある理由の一つです。

ただし、実際の評価は土地の場所や借地権割合などによって変わります。

また、「土地を貸している」といっても、駐車場として貸している場合など、契約や利用形態によって評価の考え方は異なります。

そのため、具体的な土地については個別に確認する必要があります。

4.アパートやマンションを建てると「貸家建付地」になる

もう一つ、相続税対策としてよく話題になるのが、所有している土地にアパートやマンションなどを建てて、それを第三者に貸すケースです。

この場合、その建物の敷地は、一定の要件のもとで「貸家建付地」として評価されます。

ここでもポイントになるのは、所有者が土地を自由に使えないということです。

賃貸住宅には入居者がいます。

そのため、所有者が「明日からこの土地を別の用途に使いたい」と思っても、自由に変更できるわけではありません。

こうした利用上の制約が、相続税評価に反映される仕組みがあります。

ただし、

「アパートを建てれば相続税が必ず大幅に安くなる」

という意味ではありません。

土地の評価額だけでなく、建物の評価や賃貸状況なども含めて考える必要があります。

さらに、アパートを建てるには多額の建築費がかかることもあります。

相続税だけを見て判断するのではなく、賃貸事業として成立するのかを検討することが重要です。

5.小規模宅地等の特例が使える場合もある

土地の相続税を考えるとき、「小規模宅地等の特例」も重要です。

一定の要件を満たす貸付事業用宅地等については、土地の評価額を一定割合減額できる場合があります。

ただし、誰でも利用できるわけではありません。

土地の利用状況や相続人との関係、相続後の利用状況など、細かな要件があります。

また、相続開始前の一定期間に新たに貸付事業に使った土地については、原則として注意が必要です。

そのため、

「アパートを建てたから50%減額できる」

というような単純な話ではありません。

小規模宅地等の特例は、相続税の計算結果に大きな影響を与えることがあります。

一方で、適用要件を満たしているかどうかの確認も必要です。

土地の利用状況や相続人の状況を確認したうえで判断することが大切です。

6.「相続税対策だからアパートを建てる」は危険

ここが、土地活用を検討される方に特にお伝えしたいポイントです。

相続税対策を考えるとき、どうしても、

「相続税がいくら下がるか」

に目が向きます。

しかし、アパート経営を始めれば、当然ながら賃貸経営そのものが始まります。

空室が発生するかもしれません。

修繕費が必要になるかもしれません。

固定資産税や管理費もかかります。

建築資金を借り入れれば、毎月の返済も必要です。

相続税が下がったとしても、そのために賃貸経営で長期間にわたって大きな負担を抱えるのであれば、本当にその土地活用が家族にとって良い選択なのかを考える必要があります。

相続税対策では、

「税金がいくら下がるか」

だけでなく、

「土地活用をした結果、手元のお金はいくら残るのか」

まで見ることが大切です。

税金を減らすことだけを目的にすると、土地活用そのものの採算性を見落としてしまうことがあります。

7.令和8年度税制改正で貸付用不動産の評価が見直される

これから土地活用を考える方には、税制改正にも注意が必要です。

令和8年度税制改正では、一定の貸付用不動産について、相続開始前5年以内に取得・新築した場合の相続税評価について見直しが行われました。

この改正は、原則として令和9年(2027年)1月1日以後の相続等から適用されます。

つまり、

「相続税を下げるために、相続直前になって急いで不動産を取得・新築すればいい」

という単純な考え方では対応できなくなっています。

税制は変わります。

そのため、以前から知られている「相続税対策の定番」をそのまま実行するのではなく、実際に対策を始める時点の制度を確認することが重要です。

特に、これから賃貸住宅の建築や貸付用不動産の取得を考えている場合には、改正後のルールを踏まえて事前に試算しておきたいところです。

8.空き地を貸す前に確認したい4つの数字

空き地の活用を検討するなら、少なくとも次の数字を確認しておきたいところです。

① 現在の土地の相続税評価額

まずは、空き地のまま相続が発生した場合、相続税評価額がいくらになるのかを確認します。

② 貸した場合の相続税評価額

次に、土地を貸した場合や賃貸住宅を建てた場合に、評価額がどのように変わるのかを確認します。

③ 年間の賃料収入と実質的な収益

賃料収入だけを見るのではなく、管理費、修繕費、固定資産税、借入金の返済などを考慮して、実際にどれくらいお金が残るのかを確認します。

④ 将来、土地をどうするのか

10年後、20年後に、その土地を売却するのか、自宅を建てるのか、子どもが利用するのか。

将来の予定によって、適した土地活用は変わります。

例えば、

「貸せば相続税が500万円下がる」

という試算が出たとしても、賃貸経営によって毎年大きな赤字が出るのであれば、単純に「500万円得をした」とは言えません。

逆に、立地が良く安定した賃貸需要が見込める土地であれば、相続税対策と収益確保を両立できる可能性もあります。

土地ごとに答えが違うのです。

9.相続人が困らない土地活用を考える

土地活用では、「相続税を下げる」ことだけでなく、「相続した人がその土地をどうするのか」まで考えておくことをおすすめします。

例えば、

・相続した子どもは遠方に住んでいる

・賃貸物件の管理をしたくない

・将来は土地を売却したい

・兄弟で相続する可能性がある

といった事情がある場合です。

相続税が安くなったとしても、相続後に管理が大変な土地が残れば、相続人に負担を残してしまうことがあります。

特に先祖代々の土地の場合、

「先祖から受け継いだ土地だから手放したくない」

という気持ちもあるでしょう。

だからこそ、税金だけではなく、その土地を10年後、20年後に家族がどう使うのかまで考えておきたいところです。

相続対策は、相続税の金額だけでなく、**「誰が、どのように、その土地を引き継ぐのか」**まで考えて初めて具体的な対策になります。

10.まとめ|空き地を貸す前に「相続税+収益性」で考える

空き地を貸すことで、土地の利用制限などが相続税評価額に反映され、空き地のまま所有するより評価額が低くなるケースがあります。

また、アパートやマンションを建てて賃貸することで、貸家建付地として評価される場合もあります。

しかし、

「相続税が安くなる=その土地活用が正解」

ではありません。

賃料収入、空室リスク、修繕費、借入金返済、管理負担、将来の売却や利用のしやすさなども含めて考える必要があります。

さらに、令和8年度税制改正では、一定の貸付用不動産について相続税評価の見直しが行われています。

これから空き地を貸すことを検討している方は、まず、

「現在のまま相続した場合の相続税」

「貸した場合の相続税」

「土地活用にかかる費用と収益」

を並べて比較してみてください。

相続税対策は、「税金を下げること」だけがゴールではありません。

残された家族が、その土地を無理なく引き継いでいけるか。

そこまで含めて考えることが、本当の意味での相続対策につながります。

空き地をお持ちで、「貸した方がいいのか、それとも今のまま持っておいた方がいいのか」と迷われている場合は、土地の相続税評価額だけでなく、収益性や将来の相続まで含めて、一度整理してみることをおすすめします。