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有料老人ホームの登録制が始まる?高齢者と家族が知っておきたい新しい基準

スタッフブログ

2026.10.03

「有料老人ホームは、どこを基準に選べばいいの?」

親の介護や自分自身の老後を考えるとき、こうした疑問を持つ方は少なくありません。

施設の立地や費用、食事、部屋の広さなど、確認したいことはたくさんあります。

さらに今後は、有料老人ホームの一部を対象とした「登録制」の導入に向けた動きが進んでいます。

厚生労働省は2026年9月18日の検討会で、登録制の対象となる有料老人ホームや、登録に必要となる人員・設備・運営などの基準案を示しました。

まだ最終的な制度内容が決まったわけではなく、今後の検討によって変更される可能性があります。

ただ、今回示された基準案には、高齢者本人や家族が有料老人ホームを選ぶ際にも参考になるポイントが含まれています。

今回は、有料老人ホームの登録制について、難しい制度の話だけではなく、「実際に施設を選ぶ側から見て何が重要なのか」という視点で解説します。

1.有料老人ホームの「登録制」とは?

今回検討されているのは、有料老人ホームの一部を対象とした登録制です。

背景には、介護が必要な高齢者の住まいとして有料老人ホームが重要な役割を担うようになっていることがあります。

特に、介護の必要度が高い方や、認知症、医療的なケアが必要な方にとっては、施設の人員体制や設備、介護サービスとの連携が非常に重要です。

そこで、一定の有料老人ホームについて、サービスの提供体制などに関する基準を設け、登録を受ける仕組みが検討されています。

ただし、現時点では今回示された内容はあくまで「基準案」です。

今後、具体的な制度設計が進められる中で、内容が変更される可能性があります。

そのため、この記事では現時点で示されている案を前提に解説します。

2.どんな有料老人ホームが登録制の対象になる?

今回の基準案では、すべての有料老人ホームが一律に対象となるわけではありません。

例えば、

・中重度の要介護者を入居対象とするホーム

・要介護者で、認知症の日常生活自立度がⅢ以上の人を入居対象とするホーム

・要介護者で重度の医療ニーズがある人を入居対象とするホーム

・一定の医療行為を受ける人を入居対象とするホーム

などが対象として示されています。

つまり、比較的介護や医療の必要性が高い高齢者を受け入れる施設について、一定の基準を設けることが検討されているわけです。

施設を選ぶ側からすると、「自分や親の状態に、その施設が本当に対応できるのか」という視点がこれまで以上に重要になりそうです。

3.人員体制はどうなる?

高齢者が安心して生活するためには、施設にどのような職員が配置されているのかが重要です。

今回の基準案では、管理者と生活相談員をそれぞれ1人以上配置することなどが示されています。

また、夜間や緊急時に、いわゆるオンコールによって対応できる体制を確保することも案に盛り込まれています。

施設選びでは、パンフレットに書かれた「職員配置」だけを見るのではなく、

「夜間に体調が悪くなったら誰が対応するのか?」

「急な受診が必要になった場合はどうなるのか?」

「認知症の症状が進んだ場合も住み続けられるのか?」

といった具体的な場面を確認することが大切です。

高齢者本人の状態は、時間とともに変化する可能性があります。

入居時だけでなく、数年後の生活までイメージして確認しておきたいところです。

4.居室や廊下などの設備基準も

今回の基準案では、人員だけでなく施設の設備についても一定の基準が検討されています。

例えば、建築基準法や消防法に適合することに加え、居室は原則として個室とし、入居者1人当たりの床面積を13㎡以上とすることなどが示されています。

また、廊下についても、車いすなどを利用する入居者が安全かつ円滑に移動できる幅を確保することが検討されています。

高齢になると、入居時には歩けていた方が、数年後には車いすを利用するようになることもあります。

そのため、

「今、歩けるか」

だけではなく、

「車いすになった場合でも生活しやすいか」

という視点で施設を見ることも大切です。

部屋の広さだけでなく、トイレや浴室、廊下、共用スペースなども実際に見学して確認するとよいでしょう。

5.今回のポイントの一つが「囲い込み」対策

今回の基準案で、入居者や家族にとって特に注目したいのが「囲い込み」への対策です。

「囲い込み」とは、入居者に対して、特定の介護サービス事業者を利用するよう事実上求めたり、誘導したりすることを指します。

例えば、

「この施設に入居したら、この介護事業者を利用してください」

といった形で、入居者が自由に介護サービスを選びにくくなることが考えられます。

今回の基準案では、入居契約とケアマネジメント契約の独立性や、ケアマネジャーの独立性を確保することなどが検討されています。

また、入居希望者に対して、契約やケアプラン作成についての手順を説明することなども案に盛り込まれています。

6.介護サービスは「自分で選べるのか」を確認

高齢者施設を選ぶ際には、「介護サービスを自由に選べるのか」という点も確認しておきたいところです。

例えば、施設と関係のある介護サービス事業者だけを利用するよう求められると、本人や家族がサービス内容を比較して選ぶことが難しくなる可能性があります。

今回の基準案では、

・特定の事業者のサービスに限定・誘導しない

・入居者が希望する介護サービスの利用や選択を妨げない

といった考え方が示されています。

もちろん、実際の制度や運用については今後の検討を確認する必要があります。

入居を検討する側としても、

「介護サービス事業者は選べますか?」

「ケアマネジャーは誰が担当しますか?」

「施設と介護サービス事業者との関係はどうなっていますか?」

といった質問を、契約前にしておくと安心です。

7.「入居費用」だけで施設を比較しない

有料老人ホームを選ぶ際、多くの方が最初に気にするのが費用です。

もちろん、毎月の利用料や入居一時金などは重要です。

しかし、費用だけで比較すると、後から想定外の支出が発生することがあります。

例えば、

・介護サービスの自己負担

・医療費

・薬代

・おむつなどの日用品

・外出や通院にかかる費用

・追加のサービス費用

などです。

また、介護度が高くなった場合に料金がどう変わるのかも確認しておきたいポイントです。

「今はいくらかかるか」だけでなく、

「介護が重くなった場合、月々いくらになるのか」

まで確認しておくことをおすすめします。

8.契約前に「退去になるケース」を確認する

施設選びでは、「入居できるか」だけでなく、「どんな場合に退去しなければならないか」も重要です。

例えば、

「認知症が進行したらどうなるのか?」

「医療的なケアが必要になったら?」

「入院が長期間になったら?」

「介護度が高くなったら?」

といったケースです。

入居時には問題なくても、数年後に本人の状態が変わる可能性があります。

そのとき、

「この施設で引き続き暮らせるのか」

「別の施設に移らなければならないのか」

によって、本人や家族の負担は大きく変わります。

契約書や重要事項説明書を確認し、分からない点は施設側に質問しておきましょう。

9.高齢者本人の希望を置き去りにしない

施設選びでは、家族が良かれと思って決めることもあります。

しかし、実際にそこで生活するのは高齢者本人です。

「家族として安心できる施設」と「本人が暮らしたい施設」が一致するとは限りません。

例えば、

「個室で静かに過ごしたい」

「できるだけ外出したい」

「今まで利用していた介護サービスを続けたい」

「友人や家族が訪問しやすい場所がいい」

など、本人によって大切にしたいことは違います。

費用や設備だけでなく、本人がどのような生活を送りたいのかを確認することも、施設選びでは非常に重要です。

10.まとめ|有料老人ホームは「入居後の生活」まで考えて選ぶ

今回、厚生労働省から示された有料老人ホームの登録基準案では、人員、設備、運営などについて一定の基準を設けることが検討されています。

特に注目したいのが、介護サービスの「囲い込み」への対策です。

入居者が特定の介護サービス事業者に誘導されることなく、自分が希望するサービスを選べる環境を整えることが検討されています。

また、人員配置や夜間の対応体制、居室や廊下などの設備についても基準案が示されています。

ただし、現時点ではまだ「基準案」です。

今後の検討によって、具体的な内容が変更される可能性があります。

有料老人ホームを選ぶときは、単純に「料金が安い」「部屋がきれい」といった点だけで判断するのではなく、

・夜間や緊急時にどう対応してくれるのか

・介護度が上がっても住み続けられるのか

・必要な医療に対応できるのか

・介護サービスを自由に選べるのか

・追加費用はどのくらい発生するのか

・退去が必要になるのはどのような場合か

といった点まで確認しておきましょう。

そして何より大切なのは、**「その施設に入った後、本人がどのような生活を送るのか」**を具体的にイメージすることです。

親の入居を検討している場合は、家族だけで決めるのではなく、できる限り本人の希望も聞きながら、施設を見学して比較することをおすすめします。

有料老人ホームの制度や基準は今後も変わる可能性があります。

入居を急いで決めるのではなく、契約内容や費用、介護サービスの選択肢などを一つずつ確認し、家族にとって納得できる選択をしていきたいものです。