
「株主名簿どおり」で申告して大丈夫?
会社を経営していた親が亡くなり、相続税の申告を進める際に、非上場株式の評価は大きな論点になります。
その中でも、意外と見落とされがちなのが「名義株」の問題です。
「株主名簿には親族や元従業員、取引先の名前が載っているから、その人たちの株式だろう。」
このように考えてしまうと、相続税の申告を誤る可能性があります。
特に昭和時代に設立された会社では、現在でも名義株が残っているケースは少なくありません。
今回は、名義株とは何か、なぜ問題になるのか、そして相続時に確認すべきポイントを解説します。
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# 名義株とは?
名義株とは、株主名簿には別の人の名前が記載されているものの、実際にはその人が株主とはいえない株式をいいます。
税務上は、「名義」ではなく「実態」が重視されます。
つまり、
– 誰がお金を出したのか
– 誰が配当を受け取っていたのか
– 誰が株主として権利を行使していたのか
といった事実関係によって、本当の株主が誰なのかを判断します。
そのため、株主名簿だけを見て相続財産を決めることはできません。
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# なぜ古い会社で名義株が多いのか
平成3年(1991年)の商法改正以前は、株式会社を設立するには「発起人7名以上」が必要でした。
そのため、
– 親族
– 従業員
– 取引先
などに名前だけを借りて発起人になってもらい、実際の出資は代表者一人が行うというケースが数多くありました。
当時は特別珍しいことではありませんでしたが、そのまま数十年経過すると、相続や事業承継の場面で大きな問題になることがあります。
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# 名義株かどうかを判断するポイント
税務署も一つの資料だけで判断するわけではありません。
複数の事情を総合的に確認します。
例えば、
– 株式取得時の出資金を誰が負担したのか
– 増資があれば誰がお金を出したのか
– 配当金は誰が受け取っていたのか
– 株主総会で議決権を行使していたのは誰か
– 名義人本人は自分が株主だと認識していたのか
これらを総合して、本当の株主を判断します。
実際には、「自分が株主だとは思っていませんでした」というケースも珍しくありません。
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# 相続税申告で注意すべきこと
もし調査の結果、名義株と判断されれば、その株式は被相続人の財産として相続税の対象になります。
つまり、
「父名義の700株だけ申告すればよい」
とは限りません。
名義人になっている株式も、実質的には被相続人の所有と認められれば、すべて相続財産に含める必要があります。
逆に、実態を確認せずに申告すると、
– 相続税の申告漏れ
– 修正申告
– 過少申告加算税や延滞税
などにつながる可能性もあります。
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# 将来の事業承継のためにも整理しておきたい
名義株は、相続だけの問題ではありません。
将来、
– 自社株を後継者へ承継する
– M&Aを行う
– 金融機関から融資を受ける
といった場面でも、株主が誰なのかを明確にしておくことが重要になります。
そのためには、
– 株主名簿を実態に合わせて整理する
– 法人税申告書別表二との整合性を確認する
– 必要に応じて名義株に関する覚書を作成する
– 株式移転は正式な手続きを経て行う
など、早めの対応が安心につながります。
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# まとめ
名義株は、会社設立から長い年月が経過した同族会社では決して珍しい問題ではありません。
しかし、「昔からこうなっているから」と放置してしまうと、相続税の申告や事業承継の際に思わぬトラブルを招くことがあります。
特に公務員の方の中にも、ご実家が会社を経営されているケースは少なくありません。相続は突然訪れることも多く、いざという時に慌てないためにも、株主名簿の内容が実態と一致しているかを一度確認しておくことをおすすめします。
形式よりも実態を重視するのが税務の基本です。
「株主名簿に名前があるから株主」と決めつけず、一度専門家と一緒に確認することで、将来の相続や事業承継を円滑に進めることができるでしょう。