
住宅を購入するとき、多くの人が悩むのが「住宅ローンは変動金利と固定金利のどちらがいいのか?」という問題です。
特に最近は金利を取り巻く環境が変化しており、「今まで低かった変動金利も上がるのでは?」と不安に感じている方もいるでしょう。
公務員の方は比較的収入の見通しを立てやすいとはいえ、住宅ローンは20年、30年、35年と長期間にわたって返済するケースもあります。
だからこそ、目先の金利だけではなく、**「金利が上昇しても、この返済額を無理なく払い続けられるか」**という視点が重要です。
1.日銀の利上げで住宅ローンはどうなる?
2026年6月、日本銀行は金融政策決定会合で利上げを決定し、政策金利は1.0%となりました。
こうした金利環境の変化を受け、住宅ローンをこれから借りる人だけでなく、すでに変動金利で借りている人からも、今後の返済額を心配する声が出てきます。
住宅ローンを選ぶとき、「今の金利が何%なのか」はもちろん重要です。
しかし、それ以上に大切なのが、金利が変化した場合に家計がどうなるのかを考えておくことです。
住宅ローンは一度契約すると、長期間にわたって家計に影響します。
「今は払える」というだけで判断するのではなく、「将来も払えるか」を考える必要があります。
2.変動金利と固定金利は何が違う?
住宅ローンの金利タイプは、大きく「変動金利」と「固定金利」に分けられます。
変動金利は、借入時の金利が固定金利より低く設定されることが多いのが特徴です。
そのため、同じ金額を借りるのであれば、当初の毎月返済額を抑えやすいというメリットがあります。
一方、固定金利は、一定期間または完済まで金利が固定されるタイプです。
金利上昇の影響を受けにくいため、将来の返済額を見通しやすいという安心感があります。
簡単に整理すると、
変動金利=今の返済負担を抑えやすい
固定金利=将来の返済額を安定させやすい
という違いがあります。
ただし、どちらが「正解」というわけではありません。
3.それでも変動金利を選ぶ人が多い理由
住宅金融支援機構が行った「住宅ローン利用者の実態調査(2026年1月調査)」によると、2025年4月から9月までに住宅ローンを借り入れた人では、変動金利を選んだ人が75.0%でした。
全期間固定型は10.1%、固定期間選択型は14.9%です。
この数字を見ると、現在でも変動金利を選択する人が多いことが分かります。
その大きな理由の一つが、借入当初の金利の低さです。
住宅ローンは借入額が大きいため、わずかな金利差でも返済額に影響します。
例えば、住宅ローンの返済額を少しでも抑えられれば、その分を教育費や貯蓄、投資などに回すこともできます。
ただし、「多くの人が変動金利を選んでいるから、自分も変動金利で大丈夫」と考えるのは少し危険です。
大切なのは、他の人ではなく自分の家計にとって安全かどうかです。
4.変動金利のメリットは「現在の負担を抑えやすい」こと
変動金利の最大のメリットは、一般的に固定金利より低い金利で借りられることです。
毎月の返済額が抑えられれば、住宅購入後の家計にも余裕を持たせやすくなります。
例えば、
- 子どもがこれから高校・大学へ進学する
- 住宅購入後に車を買い替える
- 毎年一定額を貯蓄したい
- 老後資金の準備も進めたい
といった家庭では、毎月の住宅ローン返済額を抑えることに意味があります。
特に住宅購入直後は、家具・家電の購入や引っ越し費用など、まとまった支出も発生しがちです。
そのため、「今の家計にどれくらい余裕を残したいか」という視点は重要です。
5.変動金利で注意したいのは「将来の金利上昇」
一方で、変動金利には大きな注意点があります。
それが、金利が上昇した場合に返済負担が増える可能性があることです。
住宅ローンは借入期間が長いため、数年先の金利を正確に予測することは簡単ではありません。
だからこそ、「金利は上がらないだろう」と考えて返済計画を作るのではなく、
「もし金利が上がったら、我が家はどうなるか?」
を考えておくことが重要です。
例えば、現在の住宅ローン返済額が毎月10万円だったとして、金利上昇によって返済負担が増えた場合でも、教育費や生活費を削らずに対応できるでしょうか。
ここを事前に確認しておけば、変動金利を選択する場合でも、金利上昇に備えた準備ができます。
6.固定金利のメリットは「家計を予測しやすい」こと
固定金利の魅力は、何といっても返済計画を立てやすいことです。
適用される期間について金利が固定されるため、金利上昇によって返済額が変わるリスクを抑えられます。
例えば、
「毎月の住宅ローンはこの金額」
と見通すことができれば、教育費や老後資金など、他の支出についても計画を立てやすくなります。
特に、
- 家計の変動をできるだけ小さくしたい
- 将来の収入増加があまり見込めない
- 教育費など今後の大きな支出が予定されている
- 金利上昇を心配しながら生活したくない
という方にとって、固定金利の安心感は大きな意味を持つでしょう。
もちろん、その安心感を得るために、変動金利より高い金利を受け入れる必要があります。
7.公務員なら「安定収入だから大丈夫」と考えていい?
公務員の場合、民間企業と比べて収入の見通しを立てやすいという面があります。
そのため、金融機関から住宅ローンを借りる際にも、安定した収入は一つの強みになります。
しかし、ここで注意したいのが、
「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」は違う
ということです。
例えば、現在の収入だけを基準に住宅ローンを考えてしまうと、
- 子どもの教育費
- 自動車の買い替え
- 親の介護
- 自宅の修繕費
- 老後資金
など、将来発生する支出を十分に考慮できない可能性があります。
公務員だからこそ、「安定しているから大丈夫」と考えすぎず、長期的な家計を冷静に見ることが大切です。
8.「金利が上がっても返せるか」をシミュレーションする
変動金利を選ぶ場合には、金利上昇を想定して家計を確認してみましょう。
例えば、
「金利が今より1%上昇したら?」
「毎月の住宅ローン負担が数万円増えたら?」
というように、少し厳しい条件を設定してみます。
その場合でも、
- 毎月の生活費を確保できるか
- 教育費を準備できるか
- 貯蓄を継続できるか
- 老後資金の準備に影響しないか
を確認します。
重要なのは、金利上昇を正確に予測することではありません。
予測が外れても家計が破綻しないようにすることです。
これは住宅ローン選びで非常に重要な考え方です。
9.金利だけでなく「家計の余裕」を見る
住宅ローンを選ぶとき、どうしても「何%で借りられるか」に目が行きます。
しかし、本当に確認したいのは、その住宅ローンを返済した後に家計へどれだけ余裕が残るかです。
例えば、毎月の手取り収入から住宅ローンを差し引いた後、
「食費や光熱費を払っても十分な貯蓄ができるか」
「子どもの教育費を準備できるか」
「突然の支出に対応できる現金が残るか」
を考えてみましょう。
税理士として家計を見るときにも、単純に「住宅ローンが払えるか」だけではなく、住宅ローンを払った後に、将来のお金まで準備できるかという視点が重要だと考えます。
10.まとめ|一番安い金利より「無理なく返せるローン」を
変動金利と固定金利には、それぞれメリットと注意点があります。
変動金利は、借入当初の金利が低く、毎月の返済負担を抑えやすいことが魅力です。
一方で、将来的な金利上昇によって家計への負担が増える可能性があります。
固定金利は、変動金利より高い金利になる傾向があるものの、返済計画を立てやすく、金利上昇への不安を抑えやすいというメリットがあります。
だからこそ、
「変動と固定、どちらが得なのか?」
だけで住宅ローンを選ぶのではなく、
「金利が上昇しても、この家計なら無理なく返済できるか?」
という基準で考えることをおすすめします。
特に公務員の方は、安定した収入を住宅ローンの強みにできる一方、その安定性を前提に借りすぎないことも大切です。
住宅購入は、人生の中でも非常に大きな買い物です。
「借りられる額」ではなく「安心して返せる額」を基準にする。
そして、住宅ローンだけではなく、教育・貯蓄・老後まで含めて家計全体を見る。
この視点を持つことが、金利が変動する時代の住宅ローン選びでは、ますます重要になってくるでしょう。