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成年後見制度が2028年までに変わる?改正内容を相続人向けにわかりやすく解説

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2026.08.25

親が認知症になったとき、財産の管理や契約手続きはどうすればいいのでしょうか。

これまでは「成年後見制度を利用する」という選択肢が大きな役割を果たしてきました。

しかし、成年後見制度は2026年に大きく見直されることになりました。

今回の改正では、本人の意思をより尊重し、「必要な支援を、必要な範囲・必要な期間だけ行う」という考え方が重視されます。

相続を考えるご家族にとっても、親の財産管理や認知症対策を考えるうえで無視できない変更です。

ここでは、成年後見制度の改正内容を、相続人の立場からできるだけわかりやすく解説します。

1. 成年後見制度の改正はいつから?

2026年6月17日、成年後見制度の改正を含む民法の一部を改正する法律案が国会で可決・成立しました。

そして、2026年6月24日に公布されています。

ただし、公布された翌日から新制度になるわけではありません。

法律では、公布の日から2年6か月を超えない範囲で政令により定める日から施行するとされています。

そのため、実際の施行日については今後の政令を確認する必要があります。

「2028年になったら必ず変わる」という単純な話ではなく、正式な施行日を確認することが大切です。

2. そもそも成年後見制度とは?

成年後見制度は、認知症や知的障害、精神障害などによって判断能力が不十分になった方を法律面から支援する制度です。

たとえば、本人に代わって財産を管理したり、契約などの法律行為を支援したりします。

現在は「後見」「保佐」「補助」という3つの類型があります。

判断能力の程度に応じて、どの制度を利用するかが決められる仕組みです。

相続人にとっても、親の判断能力が低下した場合に、預金や不動産などの財産をどのように管理するかという問題につながります。

3. 今回の改正で「後見・保佐」はどうなる?

今回の改正では、現行制度の「後見・保佐・補助」という3類型を見直し、後見と保佐を廃止して補助へ一本化する方向が示されています。

大きなポイントは、制度ありきで考えるのではなく、「本人には何が必要なのか」というところから支援を考える仕組みに変わることです。

これまでの成年後見制度には、いったん利用を開始すると長期間にわたって利用が続きやすいという課題がありました。

改正後は、本人の状況に応じて、より柔軟に制度を利用できるようになります。

4. 「必要な範囲・必要な期間だけ」がポイント

今回の改正を理解するうえで重要なのが、

「必要な支援を、必要な範囲・必要な期間だけ」

という考え方です。

たとえば、本人が特定の不動産を売却する必要があるとします。

その場合、「財産管理全般を誰かに任せる」という発想ではなく、その不動産売却など、本人にとって必要な行為について支援を受けるという考え方が強くなります。

これは、本人の財産を守るだけでなく、本人自身の意思や権利を尊重するという考え方にもつながります。

5. 本人の自己決定をより尊重する制度へ

成年後見制度には、本人を守るという大切な役割があります。

一方で、本人の行為能力を広く制限することにつながる場合があり、「本人ができることまで制限されてしまう」という課題も指摘されてきました。

今回の改正では、こうした点を見直し、本人の意思や自己決定をより重視する方向へ転換されます。

家族としても、

「親に何をしてあげるか」

だけではなく、

「親本人はどうしたいのか」

を考えることが、これまで以上に重要になりそうです。

6. 相続人にとって何が重要なのか?

成年後見制度というと、「認知症になった後の問題」と考えがちです。

しかし、相続人となる可能性のあるご家族にとっては、もっと早い段階から考えておきたいテーマです。

たとえば親が認知症になり、本人の判断能力が低下すると、

・預貯金の管理
・不動産の売却
・介護費用の支払い
・施設への入居契約
・相続に関連する手続き

などで、家族だけでは簡単に進められなくなることがあります。

「親のお金だから、子どもが代わりに手続きすればいい」とは限りません。

だからこそ、元気なうちから財産管理について家族で話しておくことが重要です。

7. 成年後見だけが選択肢ではない

今回の改正によって、財産管理について考える際には、成年後見制度だけを見るのではなく、ほかの制度との比較もより重要になります。

代表的なものが、

・任意後見
・家族信託
・財産管理契約

などです。

それぞれにメリット・デメリットがあり、家族構成や財産の内容、本人の希望によって適した方法は異なります。

「家族信託が一番いい」「成年後見が必要」と最初から決めつけるのではなく、本人の希望と財産の状況を整理して選択することが大切です。

8. 認知症になってからでは選択肢が限られることも

ここは相続対策を考えるうえで、特に注意したいところです。

任意後見契約や家族信託などは、本人の判断能力が十分な段階で準備しておくことが重要です。

判断能力が低下してからでは、本人の意思を確認して新たな契約をすることが難しくなる場合があります。

「まだ元気だから大丈夫」と先送りしているうちに、財産管理の選択肢が狭くなってしまう可能性があります。

相続対策というと、相続税ばかりに目が向きがちです。

しかし、実際には「相続が発生する前の財産管理」も非常に重要なテーマです。

9. 相続対策は「税金」だけでは考えない

税理士として相続のご相談を受けていると、相続税については熱心に考えていても、親が判断能力を失った場合の財産管理については、まだ何も決めていないというケースがあります。

しかし、相続対策は「税金をいくら減らせるか」だけではありません。

大切なのは、

「誰が、どのように財産を管理し、家族が困らない状態をつくるか」

まで含めて考えることです。

成年後見制度の改正は、こうした「相続前の財産管理」を家族で考えるきっかけにもなります。

10. まとめ|元気なうちに家族で話しておくことが大切

成年後見制度は、2026年の改正によって大きく見直されることになりました。

今回の改正では、本人の意思や自己決定をより尊重し、必要な支援を必要な範囲・必要な期間だけ利用するという考え方が重視されています。

相続人となるご家族にとって大切なのは、「制度が変わるから成年後見を使う」という考え方ではありません。

まずは、

「親は将来、財産をどう管理してほしいのか」
「不動産はどうするのか」
「介護費用はどこから出すのか」
「判断能力が低下した場合、誰に何を任せたいのか」

を家族で話し合っておくことです。

そのうえで、成年後見、任意後見、家族信託など、それぞれの制度を比較していくとよいでしょう。

相続対策は、相続が始まってからではなく、その前から始まっています。

「まだ元気だから」ではなく、「元気な今だからこそ」できる準備があります。

ご家族の財産状況や将来の相続について、一度整理してみることをおすすめします。