
1. 自筆証書遺言書の保管制度とは
2020年7月から始まった「自筆証書遺言書保管制度」。自分で書いた遺言書を法務局に預けて保管してもらえる制度です。まずは、制度の基本的な仕組みをわかりやすく解説します。
2. 自筆証書遺言書を自宅で保管するリスク
自宅で遺言書を保管していると、紛失や破損だけでなく、相続人による隠ぺいや内容の改ざんなどの問題につながる可能性があります。保管制度は、こうしたリスクへの対策になります。
3. 法務局に遺言書を預けるメリット
法務局で保管してもらうことで、自筆証書遺言書を安全に管理できます。「どこにしまったかわからない」という事態を避けやすくなる点も大きなメリットです。
4. 遺言書の「検認」が不要になる
自宅で保管していた自筆証書遺言書は、原則として相続開始後に家庭裁判所で検認の手続きが必要です。一方、法務局の保管制度を利用した遺言書は検認が不要となります。この違いは、相続手続きを考えるうえで重要なポイントです。
5. 2025年の保管申請件数は22,550件
法務省の資料によると、2025年の自筆証書遺言書の保管申請件数は22,550件。2024年より減少したものの、2年連続で年間2万件を超えています。
6. 公正証書遺言との違いを知る
2025年の公正証書遺言の作成件数は123,891件。自筆証書遺言書の保管申請とは仕組みが異なるため、単純に件数だけで優劣を判断することはできません。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を考えることが大切です。
7. 「遺言書を作ること」と「相続税対策」は別の話
税理士として相続の相談を受ける際に、ぜひ意識していただきたいのがこの点です。遺言書は「誰に、どの財産を引き継ぐか」を整理するためのもの。一方、相続税対策では財産の内容や家族構成などを踏まえた事前準備が必要です。
8. 相続を考え始めたら財産の棚卸しから
遺言書を書く前に、預貯金、不動産、有価証券など、自分がどのような財産を持っているのかを整理してみましょう。財産の全体像がわからなければ、誰に何を残すのかを具体的に考えることも難しくなります。
9. 家族との関係まで考えて遺言書を準備する
相続では「法律上どうなるか」だけでなく、「家族がどう受け止めるか」も重要です。特定の相続人に財産を多く残したい場合などは、その理由を含めて事前に整理しておくことで、将来のトラブルを防ぐ一助になります。
10. 相続対策は早めの準備が安心につながる
自筆証書遺言書保管制度の利用が年間2万件を超えていることは、遺言や相続準備への関心が一定程度高まっていることを示す一つの材料です。
ただし、「遺言書を書けば相続対策は完了」というわけではありません。財産の整理、相続税の見込み、家族関係などを一緒に確認しておくことが、より安心できる相続準備につながります。
相続は、実際に相続が発生してから考えるよりも、元気なうちに少しずつ整理しておくことが大切です。まずはご自身の財産と、ご家族に何を残したいのかを書き出すところから始めてみてはいかがでしょうか。