staffblog スタッフブログ

相続放棄しても安心?配偶者が受け取る死亡保険金と「税額軽減」の重要ポイント

スタッフブログ

2026.05.01

夫や妻が亡くなった後、「借金が多いので相続放棄をしたい」というご相談は、決して珍しいものではありません。
特に個人事業をされていた場合、事業上の借入が残っているケースも多く、慎重な判断が求められます。

そんな中でよくいただくのが、
「相続放棄したのに、生命保険金には相続税がかかるのか?」
「配偶者の税額軽減は使えるのか?」
というご質問です。

今回は、この点を実務の視点から整理しておきたいと思います。

■ 相続放棄しても「死亡保険金」は受け取れる

まず押さえておきたい大原則があります。

**相続を放棄しても、死亡保険金は受け取れます。**

なぜなら、死亡保険金は
「受取人固有の財産」
と考えられているからです。

したがって、
・借金は引き継ぎたくない
・でも生活資金は確保したい

という場合には、
**相続放棄+生命保険金の受け取り**
という選択は、現実的かつ合理的な対応になります。

ただし、ここで一つ重要な注意点があります。

■ 相続放棄すると「非課税枠」は使えない

生命保険金には通常、次の非課税枠があります。

**500万円 × 法定相続人の数**

しかし、ここが落とし穴です。

**相続を放棄した人は「相続人」に含まれません。**

つまり、

・相続放棄をした
・死亡保険金を受け取った

この場合は、

**非課税枠が使えない可能性がある**

という点は、事前に必ず確認しておく必要があります。

実務では、この違いだけで
**数百万円単位で税額が変わる**
ことも珍しくありません。

■ それでも「配偶者の税額軽減」は使える

ここは安心していただきたいポイントです。

**配偶者が相続を放棄していても、
配偶者の税額軽減は適用できます。**

この制度は非常に強力で、

次のいずれか多い金額まで
**相続税がかかりません。**

・1億6,000万円
・法定相続分相当額

つまり、

たとえ相続放棄をしていても、
配偶者であるという事実は変わらないため、
この優遇は受けられるのです。

ただし――

■ 「申告しないと使えない」制度です

ここが実務上、最も重要なポイントです。

**配偶者の税額軽減は、
申告しないと適用されません。**

たとえ最終的に税額がゼロになる場合でも、

・相続税の申告書
・戸籍関係書類
・遺産分割等の資料

などを整えて提出する必要があります。

実務では、

「税金がかからないと思って申告しなかった」
→「後から特例が使えない」

というケースも実際に起きています。

これは非常にもったいない話です。

■ 経営者・事業者のご家族ほど「事前整理」が重要

個人事業や中小企業の経営者の場合、

・借入金がある
・保証がある
・保険がある
・不動産がある

といったように、
**相続の判断が複雑になりやすい**のが特徴です。

だからこそ、

相続が発生してからではなく、
**元気なうちの整理(生前対策)**が、
ご家族を守る最大の準備になります。

■ まとめ(実務ポイント)

・相続放棄しても死亡保険金は受け取れる
・ただし生命保険の非課税枠は使えない可能性がある
・それでも配偶者の税額軽減は適用できる
・ただし申告が必須

ここは非常に誤解の多い論点です。

「借金があるから放棄する」
「保険があるから安心」

この二つの間に、
**税務上の落とし穴が潜んでいる**ことがあります。

ご家族の安心を守るためにも、
制度の正しい理解と、早めの準備をおすすめします。
“`