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「非課税だから安心」は危険?住宅取得資金贈与で見落としやすい“110万円加算”に注意

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2026.06.03

「住宅取得等資金の贈与税非課税制度を使っていたから、相続税には関係ない」

実は、このような思い込みから、相続税申告で誤りが発生するケースがあります。

大阪国税局が公表した「誤りやすい事例(令和7年版)」でも取り上げられているのが、“住宅取得等資金の贈与”と“7年以内贈与加算”の関係です。

今回は、相続人の方が特に注意したいポイントを、できるだけ分かりやすく解説します。

■ 事例:住宅購入資金1,110万円を父から贈与

例えば、次のようなケースです。

子(乙)は、父(甲)から令和6年に住宅購入資金として1,110万円の贈与を受けました。

その際、

・住宅取得等資金の非課税制度:1,000万円
・暦年贈与の基礎控除:110万円

を使って、贈与税はゼロとなっていました。

その後、父が令和9年に亡くなり、相続税申告を行うことになります。

ここで、

「贈与税がかかっていないのだから、相続税にも関係ないだろう」

として、相続開始前7年以内の贈与加算をしなかった――

これが“誤り”です。

■ なぜ110万円だけ加算されるのか?

ポイントは、

「非課税制度による非課税」と
「基礎控除による非課税」は、扱いが違う

という点です。

住宅取得等資金の特例で非課税となった1,000万円部分については、法律上、相続開始前7年以内の贈与加算の対象外とされています。

しかし、残りの110万円は、単なる“暦年課税の基礎控除”です。

この110万円については、

「7年以内贈与加算の対象外にする」

という規定がありません。

そのため、相続税申告では、この110万円を相続財産に加算する必要があります。

■ 「税金ゼロ=申告不要」ではない

相続税の実務では、

「贈与税が発生しなかった」
=
「相続税にも影響しない」

とは限りません。

特に最近は、相続開始前贈与の加算期間が「3年」から「7年」へ段階的に延長されているため、生前贈与の確認は以前より重要になっています。

過去の贈与契約書
贈与税申告書
住宅資金贈与の特例適用資料

などを整理しておかないと、相続発生時に見落としやすくなります。

■ 相続人が確認しておきたい3つのポイント

① 「非課税制度」と「基礎控除」を区別する

同じ“税金がかからない”でも、制度ごとに相続税での扱いが異なります。

② 生前贈与の履歴を一覧化しておく

相続開始前7年以内の贈与は、今後ますます重要になります。

③ 「昔の申告」を必ず見直す

住宅取得資金、教育資金、結婚子育て資金など、特例適用の有無を確認しましょう。

■ まとめ

今回の事例は、

「非課税だったから安心」

という思い込みが原因で起こりやすい典型例です。

特例による非課税部分と、基礎控除部分では、相続税上の扱いが異なる場合があります。

相続税は、“過去の贈与”とのつながりを確認しながら進める税目です。

特に住宅取得資金の贈与を受けたことがある方は、早めに資料整理と専門家確認をしておくことをおすすめします。