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国税庁が令和7年分の確定申告状況を公表 “高所得者課税”と“贈与税増加”から見える税務の新潮流

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2026.06.04

国税庁が令和7年分の確定申告状況を公表しました。

今回の公表データを見ると、

・所得税納税人員の大幅増加
・贈与税額の過去最高更新
・「超富裕層課税」の本格始動
・e-Tax利用の急拡大

など、税務行政や資産課税の流れが大きく変化していることが分かります。

単なる統計資料として見るのではなく、

「国がどこを見ているのか」
「今後どの分野の管理が強化されるのか」

を読み解くことが、これからの税務実務ではますます重要になりそうです。

■ 所得税は“定額減税の反動”で大幅増

令和7年分の所得税等の納税人員は627万人超となり、前年比21.3%増加しました。

前年の令和6年分は定額減税の影響で一時的に納税人員が減少していましたが、今回は“平常水準に戻った”形です。

一方で注目すべきは、

・所得金額:54兆円超(前年比7.4%増)
・申告納税額:4.6兆円超(前年比6.6%増)

という点です。

背景には、

・賃上げ
・物価上昇
・企業業績回復
・不動産価格上昇

など、日本経済のインフレ局面への移行が色濃く表れています。

■ 「極めて高い水準の所得」に対する課税が始動

今回、税務実務上で最も注目すべきポイントの一つが、

「特定の基準所得金額の課税の特例」

いわゆる“超富裕層ミニマム税”です。

令和7年分から初めて適用が開始され、744件の適用、申告納税額は4,077億円となりました。

これは、

「金融所得中心で実効税率が極端に低くなる高所得者」

への負担調整を目的とした制度です。

従来の日本では、

・株式譲渡
・配当所得
・分離課税所得

の比率が高い富裕層ほど、実効税率が下がるケースがありました。

今回の制度導入は、

“所得の種類による税負担の歪み”

を是正する方向へ、税制が動き始めたことを意味します。

今後は、

・資産管理会社
・ファミリーオフィス
・富裕層の所得分散

などへの税務当局の関心がさらに高まる可能性があります。

■ 贈与税は「過去最高」を更新

もう一つ注目すべきは、贈与税です。

申告納税額は5,038億円となり、基礎控除110万円制度導入後で過去最高となりました。

興味深いのは、

「申告人数は減っているのに、税額は増えている」

という点です。

これは、

・高額贈与の増加
・資産移転ニーズの高まり
・不動産や株価上昇による評価額増加

などが背景にあると考えられます。

特に近年は、

・相続対策の前倒し
・生前贈与活用
・事業承継対策

への関心が高まっています。

その一方で、税制改正により、

・生前贈与加算の7年延長
・相続時精算課税の見直し

なども進んでおり、

「単純に贈与すれば節税になる時代」

ではなくなっています。

■ 不動産譲渡所得は4年連続で過去最高

土地等の譲渡所得も増加し、所得金額は6兆9,000億円超と4年連続で過去最高を更新しました。

背景としては、

・都市部を中心とした地価上昇
・インフレによる実物資産需要
・金価格上昇

などが考えられます。

税務実務でも、

・不動産売却
・共有解消
・相続不動産処分
・法人化スキーム

などの相談は今後さらに増える可能性があります。

■ e-Taxは“標準”の時代へ

今回の統計では、e-Tax利用率が77.1%まで上昇しました。

一方で、確定申告会場利用者は全体の1割未満となり、国税庁は令和8年分から休日相談対応を終了します。

これは明確に、

「紙からデジタルへ」

という流れを示しています。

税理士業界としても、

・電子申告
・マイナポータル連携
・クラウド会計
・デジタル証憑管理

への対応力が、今後さらに重要になっていくでしょう。

■ まとめ

今回の確定申告状況から見えてくるのは、

「税務行政の重点分野の変化」

です。

特に、

・富裕層課税
・資産移転
・不動産所得
・デジタル化

は、今後の税務実務に大きな影響を与えるテーマになりそうです。

統計資料は“過去の数字”ではありますが、その中には、

「国がこれからどこを見ていくのか」

というメッセージが含まれています。

税務実務に携わる者としては、制度そのものだけでなく、“流れ”を読む視点もますます重要になりそうです。
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