
相続した土地を売却しようとして、不動産会社に査定を依頼したところ、
「この土地は公図上、プラス地番になっています」
と言われたら、少し戸惑うかもしれません。
「プラス地番って何?」
「土地が複数あるということ?」
「このまま売却できないの?」
このような疑問を持つ方も多いでしょう。
実は、公図上の「プラス地番」は、土地の境界に関する問題が残っている可能性を示す重要なサインです。
相続した土地をスムーズに売却するためにも、早い段階で確認しておきたいポイントです。
1.そもそも「公図」とは?
公図とは、法務局に備え付けられている土地の地図です。
土地の区画や地番、道路、水路などが記載されており、土地同士の位置関係や大まかな形状を確認するために利用されます。
相続した土地を売却する場合には、登記事項証明書だけでなく、公図なども確認することがあります。
ここで「1+2+3」のように、複数の地番が「+」記号でつながって表示されている場合があります。
これが、いわゆる「プラス地番」です。
2.「プラス地番」はどんな状態?
公図上で複数の地番が「+」で結ばれている場合、その土地は一般に「筆界未定地」と呼ばれる状態である可能性があります。
筆界とは、登記上の土地と土地との境界のことです。
つまり、プラス地番になっているということは、隣接する土地との境界が明確に定まっていない、あるいは法務局の地図上で境界線を表示できない状態になっているケースがあります。
単に「地番が複数ある」という話ではありません。
ここは、相続した土地を売却する方にとって特に注意したいところです。
3.なぜ筆界未定地になってしまうの?
筆界未定地は、地籍調査などの際に境界を確定できなかったことなどによって生じます。
例えば、隣接する土地の所有者同士で、
「ここが境界です」
という合意ができず、現地での立会いが不調になってしまうケースがあります。
また、土地の所有者が分からず、立会いそのものができない場合もあります。
このような事情から、境界線を確定できないまま、やむを得ず「筆界未定」として処理されることがあります。
重要なのは、現在の所有者である相続人が原因を作ったとは限らないということです。
親や祖父母から相続した土地について、何十年も前の境界問題が残っているケースも考えられます。
4.プラス地番の土地は売却できないの?
ここは誤解しやすいところです。
プラス地番だからといって、必ず売却できないというわけではありません。
ただし、通常の土地に比べて売却が難しくなる可能性があります。
筆界未定地では土地の正確な範囲を特定しにくいため、買主にとっては将来的な境界トラブルが心配になります。
さらに、買主が住宅ローンなどの融資を利用する場合には、土地の担保設定について金融機関から問題を指摘される可能性もあります。
そのため、買主が見つかってから境界問題に取り組むのではなく、売却を考え始めた段階で現状を確認しておくことが大切です。
5.筆界未定地を解消するには?
筆界未定地の解消には、土地の境界について調査・測量を行い、隣接する土地の所有者との間で筆界を確定させる必要があります。
こうした手続きについては、土地家屋調査士などの専門家に相談することになります。
状況に応じて、法務局への「地図訂正」の申出や「地積更正」の登記申請などが必要になる場合もあります。
ただし、過去に境界が確定しなかった原因によって対応方法は変わります。
「プラス地番だから、とりあえず測量をすればいい」と単純に考えるのではなく、まずはなぜ筆界未定になっているのかを調べることが重要です。
6.相続人が最初に確認したい3つのポイント
相続した土地にプラス地番があると分かったら、まず次の3点を確認してみましょう。
① 公図や登記の内容を確認する
法務局で公図や登記事項証明書などを確認し、現在の登記上の状態を把握します。
② 過去の境界問題を調べる
親や祖父母など、以前の所有者が境界について隣接地所有者と話し合ったことがないか確認します。
古い資料や測量図などが残っていれば、解決の手掛かりになることがあります。
③ 土地家屋調査士や不動産会社に早めに相談する
実際に売却する予定があるのであれば、境界や測量に詳しい専門家に現状を確認してもらいましょう。
特に「いつまでに売りたい」という期限がある場合は、早めの相談が重要です。
7.「すぐ売りたい」が難しくなることも
相続した土地を売却して、その売却代金を他の相続人との分配や納税資金などに充てたい。
このようなケースでは、売却時期が重要になります。
しかし、プラス地番の問題がある場合、原因の調査、隣接土地所有者との調整、測量などに時間がかかる可能性があります。
そのため、
「買主が決まってから考えればいい」
ではなく、
「売却を考え始めた時点で確認しておく」
ことをおすすめします。
相続では、税金の申告期限など、動かせないスケジュールがある場合もあります。
不動産の売却だけを見ていると、思わぬところで時間が足りなくなることがあります。
8.相続では「税金」だけでなく「売却まで」を考える
相続した土地について考えるとき、多くの方はまず相続税を気にされます。
もちろん相続税は重要ですが、土地を売却するのであれば、その前後に発生する問題にも目を向ける必要があります。
例えば、
・境界確定や測量にかかる費用
・不動産会社への仲介手数料
・土地を売却した場合の譲渡所得に関する税金
・相続した土地をいつ売却するのか
・取得費をどのように確認するのか
などです。
相続後の土地をどう処分するかは、税金だけで決められる問題ではありません。
不動産の状態と売却スケジュールを確認したうえで、税務上の影響も合わせて考えることが大切です。
9.相続した土地に「+」があったら、まず専門家に確認を
公図に「+」があることに気づいたとしても、すぐに「この土地は売れない」と判断する必要はありません。
一方で、何も確認せずに売却活動を進めるのもおすすめできません。
まずは、
「なぜこの土地はプラス地番になっているのか?」
を確認することから始めましょう。
境界や測量については土地家屋調査士、不動産の売却については不動産会社、相続税や売却に伴う税金については税理士など、それぞれの専門家に相談することで、問題を整理しやすくなります。
10.まとめ――相続した土地ほど「早めの確認」が大切
相続した土地の公図に「1+2+3」のような表示がある場合、それは筆界未定地である可能性があります。
筆界未定地では土地の境界が明確になっていないため、売却時に買主や金融機関との間で問題になることがあります。
だからこそ、相続した土地を売却する予定があるなら、売却直前ではなく、できるだけ早い段階で公図や登記の状態を確認しておくことが大切です。
相続した不動産は、「名義を変えれば終わり」ではありません。
その土地にどのような問題があるのか、いつ売却できそうなのか、売却すると税金はいくらくらいかかるのか。
こうした点を一つずつ整理していくことで、相続後の資産整理をよりスムーズに進めることができます。
「相続した土地を売りたいけれど、何から確認すればいいのか分からない」
そんな場合には、まず土地の現状を把握するところから始めてみてください。