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【税理士が解説】賃貸不動産を相続したら敷金返還義務は誰が引き継ぐ?

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2026.10.26

親がアパートや貸店舗などの賃貸不動産を所有していた場合、相続によって不動産を引き継ぐことがあります。

その際、忘れてはいけないのが、入居者から預かっている「敷金」の存在です。

相続が発生したとき、入居者に敷金を返還する義務は誰が引き継ぐのでしょうか。

不動産を相続した人だけが負担するのか、それとも相続人全員が法定相続分に応じて負担するのか。相続人同士で認識が異なると、思わぬトラブルにつながる可能性があります。

この記事では、賃貸不動産を相続した際の敷金返還義務について、裁判例を踏まえながら、相続人が知っておきたいポイントを解説します。

1. 賃貸不動産を相続したら敷金返還義務も引き継ぐ?

結論からいうと、賃貸不動産を相続し、賃貸人としての地位を引き継いだ相続人は、原則として敷金返還義務も引き継ぎます。

敷金は、入居者が賃貸借契約に基づいて貸主に預けているお金です。

退去時には、契約内容などに応じて、未払い賃料や借主が負担すべき原状回復費用などを差し引いた残額を返還することになります。

貸主は、敷金を預かっている以上、契約終了時などに返還する義務を負います。

その貸主が亡くなり、相続が発生した場合には、敷金の返還義務を誰が引き継ぐのかが問題になります。

この点については、敷金に関する法律関係が賃貸借契約と密接に結び付いていることが重要です。

2. 敷金返還義務は相続人全員が法定相続分で負担する?

相続が発生すると、被相続人が負っていた債務は、原則として相続人に承継されます。

そのため、敷金返還義務についても、相続人全員が法定相続分に応じて負担するのではないかと考える方もいるでしょう。

しかし、賃貸不動産の相続に伴う敷金返還義務については、単純に一般的な金銭債務と同じように考えればよいわけではありません。

敷金返還義務は、賃貸借契約や賃貸人としての地位と密接に関係しています。

そのため、賃貸不動産を相続し、賃貸人の地位を引き継いだ相続人が敷金返還義務を承継するという考え方が、裁判例で示されています。

つまり、不動産を相続した相続人と、その他の相続人とでは、敷金返還義務の承継について結論が異なる場合があるということです。

3. 大阪高裁令和元年12月26日判決ではどう判断された?

この問題に関連する裁判例として、大阪高等裁判所令和元年12月26日判決があります。

この判決では、敷金に関する法律関係は賃貸借契約と密接に結び付いていることなどを理由に、敷金返還義務は賃貸人の地位を承継した者に当然に承継されると判断されました。

この考え方に従えば、被相続人が所有していた賃貸不動産を相続人の一人が相続し、その相続人が賃貸人の地位を引き継いだ場合には、その相続人が敷金返還義務を引き継ぐことになります。

不動産を相続していない相続人が、当然に法定相続分に応じて敷金返還義務を負うという結論にはなりません。

ただし、実際の相続では、遺産分割の内容や賃貸借契約の状況など、個別の事情を確認することが大切です。

4. 具体例で確認!長男が賃貸アパートを相続した場合

例えば、父親が賃貸アパートを所有しており、入居者から合計300万円の敷金を預かっていたとします。

父親が亡くなり、相続人は長男と次男の2人です。

遺産分割協議の結果、長男が賃貸アパートを相続し、賃貸人の地位を引き継ぐことになりました。

この場合、敷金返還義務は誰が引き継ぐのでしょうか。

今回の裁判例の考え方に従えば、長男が賃貸人の地位とともに敷金返還義務を引き継ぐことになります。

敷金が300万円あるからといって、長男と次男が150万円ずつ返還義務を負うということにはなりません。

長男は、将来、入居者が退去した際などに、契約内容に従って敷金を精算し、返還すべき金額を支払うことになります。

一方、次男は賃貸アパートを相続しておらず、賃貸人の地位も引き継いでいないのであれば、この裁判例の考え方では、敷金返還義務を当然に引き継ぐことにはなりません。

なお、ここでいう300万円は預かっている敷金の総額です。実際に返還する金額は、退去時の契約内容や未払い賃料などによって変わる可能性があります。

5. 賃貸不動産を相続するときに確認しておきたい3つのポイント

敷金返還義務をめぐるトラブルを防ぐためには、相続手続きの段階で必要な情報を整理しておくことが大切です。

ポイント1:預かっている敷金の金額を確認する

まずは、被相続人が入居者から預かっていた敷金の金額を確認しましょう。

賃貸借契約書や管理会社の資料、預金口座の入出金記録などを確認し、物件ごと・入居者ごとに整理しておくと安心です。

複数の物件を所有している場合は、物件ごとに敷金の総額を把握しておくことが重要です。

ポイント2:賃貸人の地位を誰が引き継ぐのか明確にする

遺産分割協議では、不動産を誰が相続するのかを決めるだけでなく、その不動産に関連する賃貸借契約や管理上の責任についても確認しておきましょう。

賃貸不動産を相続する人が明確になっていれば、敷金返還義務の承継についても整理しやすくなります。

相続人同士で認識が食い違わないよう、遺産分割協議の内容を明確にしておくことが大切です。

ポイント3:相続税の計算でも敷金を確認する

賃貸不動産を相続した場合、敷金返還義務は、法律上誰が承継するのかという問題だけでなく、相続税の計算でも確認が必要になることがあります。

相続税では、被相続人が負担していた債務のうち、一定の要件を満たすものは、遺産総額から差し引くことができます。

ただし、敷金返還義務を債務として控除できるかどうか、また、誰の相続税計算でどのように取り扱うかは、具体的な契約関係や債務の承継状況などを確認して判断する必要があります。

敷金の金額だけで判断せず、賃貸借契約書や相続関係の資料をそろえて確認しましょう。

6. 賃貸不動産の相続では「不動産の評価」だけで考えない

相続税の申告では、土地や建物の評価額に注目しがちです。

しかし、賃貸不動産には、入居者との賃貸借契約や預かっている敷金など、不動産そのものの評価額だけでは把握できない事情があります。

例えば、相続したアパートに複数の入居者がいる場合、入居者ごとの敷金の金額や賃貸借契約の内容を確認する必要があります。

また、相続後に退去者が出た場合には、敷金の精算や返還に関する実務も発生します。

不動産を相続した人が、将来の敷金返還に備えて必要な資金を確保できるよう、相続開始時点で敷金の状況を把握しておくとよいでしょう。

相続税の申告だけでなく、相続後の賃貸経営まで見据えて準備することが大切です。

7. まとめ:敷金返還義務は賃貸人の地位を引き継ぐ人がポイント

賃貸不動産を相続した際の敷金返還義務について、重要なポイントを整理します。

  • 敷金は、賃貸借契約に関連して貸主が入居者から預かっているお金です。
  • 敷金返還義務は、賃貸借契約や賃貸人の地位と密接に関係しています。
  • 大阪高等裁判所令和元年12月26日判決では、敷金返還義務は賃貸人の地位を承継した者に当然に承継されると判断されました。
  • そのため、賃貸不動産を相続し、賃貸人の地位を引き継いだ相続人が敷金返還義務を承継することになります。
  • 相続手続きでは、預かっている敷金の金額や賃貸借契約の内容を確認し、相続税の取り扱いについても検討することが大切です。

賃貸不動産の相続では、土地や建物の評価だけでなく、敷金返還義務などの契約上の関係も整理する必要があります。

相続人同士のトラブルを防ぎ、相続後の賃貸経営を円滑に進めるためにも、早い段階で必要な資料を確認しておきましょう。

賃貸不動産の相続は、税金の計算だけでなく、契約関係や相続後の管理まで含めて考えることが大切です。 判断に迷う場合は、税理士などの専門家に相談し、個別の事情に応じて確認することをおすすめします。


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賃貸不動産を相続したら敷金返還義務は誰が引き継ぐ?|税理士が解説

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賃貸不動産を相続した場合、入居者から預かっている敷金の返還義務は誰が引き継ぐのでしょうか。大阪高裁令和元年12月26日判決を踏まえ、相続人が知っておきたい敷金返還義務の考え方や相続税の確認ポイントを税理士が解説します。

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※公開前の確認事項:この記事は、提示されたニュース内容をもとに作成した一般的な解説です。裁判例の正確な判決内容や射程、個別の契約関係による違いについては、原文や信頼できる法律資料で確認してください。また、相続税における債務控除の可否や具体的な取り扱いは、個別の事情に応じた確認が必要です。