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2028年開始予定「みらいたすく」とは?相続人の金融機関手続きはどう変わるのか

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2026.09.18

はじめに

相続が発生すると、遺産分割や相続税の申告だけでなく、銀行や証券会社などでさまざまな手続きが必要になります。

特に大変なのが、亡くなった方が複数の金融機関を利用していたケースです。

銀行Aにも連絡、証券会社Bにも連絡、さらに別の銀行Cにも書類を提出……。

同じような戸籍謄本や印鑑証明書を何度も準備することになり、「相続手続きだけでかなり疲れてしまった」という方も少なくありません。

そんな状況を変える可能性がある取り組みが、金融業界横断の相続手続き一元化プラットフォーム「みらいたすく」です。

今回は、税理士の立場から、相続人の皆さまに知っておいていただきたいポイントをわかりやすく解説します。

1.そもそも相続で金融機関の手続きが大変なのはなぜ?

現在、亡くなった方の預金や有価証券について相続手続きをする場合、基本的には金融機関ごとに手続きを行う必要があります。

たとえば、

・A銀行に預金がある
・B証券会社に株式がある
・C信託銀行に投資信託がある

という場合、それぞれの金融機関に連絡し、必要書類を確認して手続きを進めることになります。

相続人にとって負担となりやすいのは、単純に「金融機関の数が多い」ことだけではありません。

金融機関によって必要書類や手続き方法が異なるため、「次は何を準備すればいいのか」がわかりにくいことも大きな負担になります。

2.そこで登場するのが「みらいたすく」

2026年、SMBC日興証券、大和証券グループ本社、野村ホールディングス、三井住友信託銀行、三井住友フィナンシャルグループ、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、NTTデータなど10社は、金融業界横断の相続手続き一元化プラットフォーム「みらいたすく」の構築に向けた基本合意を発表しました。

ポイントは、「一つの金融機関だけ」のサービスではないことです。

銀行、信託、証券など、金融機関の垣根を越えて相続手続きを共通化・標準化することを目指しています。

つまり、これまで金融機関ごとにバラバラだった手続きを、相続人の側から見て、できるだけわかりやすく整理しようという発想です。

3.「みらいたすく」ができると何が変わる?

公表されている構想では、相続人が各金融機関へ個別に連絡するのではなく、「みらいたすく」を通じて相続手続きに必要な情報を連携し、提携する金融機関の手続きを一括して進められる仕組みを目指しています。

イメージすると、

【これまで】

相続人

銀行Aへ連絡・書類提出

証券会社Bへ連絡・書類提出

信託銀行Cへ連絡・書類提出

という流れだったものが、

【みらいたすくの構想】

相続人

「みらいたすく」で情報を入力・連携

提携金融機関へ情報を共有

それぞれの相続手続きを進める

という形になる可能性があります。

もちろん、実際のサービス内容については今後変更される可能性があります。

したがって、「これがあれば相続手続きがすべて自動で終わる」と考えるのは早いでしょう。

ただ、金融機関ごとに同じような情報を何度も提出する負担を減らす方向であることは、相続人にとって大きな意味があります。

4.いつから使えるようになるの?

現時点で公表されている予定は次のとおりです。

・2026年秋頃:新会社設立
・2027年夏頃:一部地域で試験導入
・2028年秋頃:全国で提供開始

つまり、全国での提供開始は2028年秋頃が予定されています。

ここで注意したいのは、「相続が発生したら、みらいたすくが始まるまで待てばいい」ということではありません。

現在発生している相続については、基本的に従来どおりの手続きが必要です。

また、2028年に全国提供が始まったとしても、すべての金融機関が必ず対象になるとは限りません。

どの金融機関が参加するのか、具体的にどこまでの手続きをオンラインで行えるのかについては、今後の発表を確認する必要があります。

5.相続人にとって「便利になること」と「変わらないこと」

「みらいたすく」によって金融機関の手続きが効率化されても、相続そのものがなくなるわけではありません。

たとえば、

・誰が相続人なのか
・どの財産が遺産になるのか
・遺産を誰が取得するのか
・遺産分割協議をどうするのか
・相続税の申告が必要なのか

といった問題は別途考える必要があります。

ここは税理士として、ぜひ強調しておきたいところです。

「金融機関の手続きが簡単になること」と「相続全体が簡単になること」は同じではありません。

6.税理士から見ると、むしろ重要なのは「財産の見える化」

実際の相続で意外と時間がかかるのが、「そもそも、亡くなった方がどこに財産を持っていたのかわからない」というケースです。

通帳が見つからない。

証券会社から郵便物が届いているけれど、どんな資産を持っていたのかわからない。

ネット銀行やネット証券を利用していて、家族が存在を知らなかった。

こうしたことがあると、どれだけ金融機関の手続きがデジタル化されても、最初の「財産を探す」という作業で時間がかかります。

そのため、相続対策では「手続きの効率化」だけでなく、「財産の所在を家族が把握できる状態」にしておくことが重要です。

7.今から相続人が確認しておきたいこと

「みらいたすく」の全国提供開始を待つ必要はありません。

今からでも、できる準備があります。

まず確認したいのは、

・銀行口座
・証券会社の口座
・投資信託
・生命保険
・不動産
・その他の金融資産

などです。

特に最近は、インターネット上だけで管理している金融資産も増えています。

「紙の通帳がないから財産がない」とは限りません。

家族にすべてのパスワードを渡す必要があるという意味ではありませんが、「どこの金融機関を利用しているか」がわかるだけでも、残された家族の負担は大きく変わります。

8.「みらいたすく」が相続税申告をしてくれるわけではない

ここも誤解しやすいポイントです。

「みらいたすく」は、金融機関における相続手続きを一元化するためのプラットフォームを目指しているものです。

一方、相続税については別の問題です。

相続税には申告期限があります。

また、財産の評価や遺産分割の内容によって、相続税の計算も変わります。

そのため、

「金融機関の手続きがオンラインでできるようになったから、相続についてはもう安心」

とは考えないほうがよいでしょう。

金融機関の手続き、遺産分割、相続税申告などを、それぞれ整理して考えることが大切です。

9.「便利になるからこそ」早めの準備が大切

デジタル化が進むと、相続手続きは確実に便利になっていくでしょう。

しかし、便利な仕組みを使うためにも、前提となる情報が整理されていることが重要です。

たとえば、

「父が利用している銀行はどこ?」
「株式はどこの証券会社にある?」
「保険には加入している?」

といったことが家族にもわかる状態にしておく。

これだけでも、相続が発生した後の調査負担を減らせます。

相続対策というと、「節税」をイメージする方が多いのですが、私は「残された家族が困らないように情報を整理しておくこと」も重要な相続対策だと考えています。

10.2028年、「相続の手続き」は変わるのか?

「みらいたすく」は、金融機関ごとに分かれていた相続手続きを、業界横断で共通化・デジタル化しようとする取り組みです。

全国提供が予定されている2028年秋頃以降、対象となる金融機関の手続きについては、相続人の負担が軽くなることが期待されます。

ただし、相続の本質まで変わるわけではありません。

財産を把握する。

相続人を確認する。

遺産分割を考える。

必要であれば相続税を申告する。

そして金融機関などの名義変更・解約手続きを行う。

これらを整理して進めることが、これからも重要です。

「手続きが便利になる時代だからこそ、財産の整理は早めに。」

これが今回のニュースから、相続人の皆さまにお伝えしたいポイントです。

相続は、実際に発生してから初めて考えるのではなく、元気なうちに少しずつ準備しておくことで、残されたご家族の負担を大きく減らせる場合があります。

なお、「みらいたすく」は今後、名称やサービス内容、参加金融機関などが変更される可能性があります。利用を検討する際には、その時点で公表されている最新情報をご確認ください。