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外貨建ての据置保険金を相続したら? ## 相続人が知っておきたい「保険」と「相続税」の落とし穴

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2026.05.15

「死亡保険金だと思っていたら、実は違った」

外貨建て保険の相続では、このようなケースが少なくありません。

特に最近は、

– 米ドル建て保険
– 豪ドル建て保険
– 一時払い養老保険

などを活用していた方も多く、相続発生後に初めて契約内容を確認するご家族も増えています。

今回のテーマは、

## 「満期後に据え置かれていた外貨建て保険金を相続した場合」

です。

一見すると「死亡保険金」のように見えますが、税務上の扱いは大きく異なるため注意が必要です。

# そもそも「据置保険金」とは?

今回のケースでは、

– 養老保険が満期を迎えている
– 満期保険金を受け取らず保険会社に据え置いていた

という状態です。

つまり、保険契約そのものはすでに終了しています。

ここが非常に重要なポイントです。

# 死亡保険金ではなく「預け金」に近い扱い

保険契約が満期で終了している以上、

その後に保険会社に据え置かれているお金は、

## 「死亡保険金」ではありません。

税務上は、

## 「保険会社に預けていたお金」

として扱われます。

イメージとしては、

– 定期預金
– 外貨預金
– 未収金

に近いものです。

そのため、

死亡保険金特有の、

## 「500万円 × 法定相続人」

の非課税枠は使えません。

ここは多くの方が誤解しやすいポイントです。

# 誰が受け取るのか?

今回の契約では、

– 満期保険金受取人:お父様
– 死亡保険金受取人:お母様

となっています。

しかし、満期時点で保険契約は終了しているため、

死亡保険金受取人の指定は、実質的に意味を失っています。

つまり、据置保険金は、

## 相続財産として相続人全員の共有財産

になります。

したがって、

– お母様
– ご相談者
– 妹様

で遺産分割協議を行い、

「誰の口座で受け取るか」

を決める流れになります。

保険会社には、

– 相続関係書類
– 遺産分割協議書
– 戸籍類

などを提出して手続きを進めることになります。

# 実は見落としやすい「一時所得」

今回、さらに重要なのがここです。

満期保険金は、

## 「満期日が到来した時点」

で一時所得の対象になります。

つまり、

「まだ受け取っていなかった」

としても、

税務上は、

## “受け取れる状態になった時点”

で課税関係が発生するのです。

今回のケースでは、

2024年3月31日に満期を迎えています。

そのため、本来は2024年分の所得税申告で、

一時所得として申告が必要だった可能性があります。

もし申告漏れがある場合は、

相続人が準確定申告として対応する必要があります。

# 外貨建て保険で悩ましい「為替レート」

外貨建て保険の相続では、

「いつの為替レートを使うのか?」

が非常にややこしいポイントです。

実は、

## 税目によって適用レートが異なります。

# 所得税(一時所得)の場合

一時所得計算では、

### 払込保険料
→ 払込日のTTM

### 満期保険金
→ 満期日のTTM

を使うのが原則です。

つまり、

「契約時」と「満期時」の為替差損益も含めて計算されます。

円安局面では、一時所得が想像以上に大きくなることもあります。

# 相続税の場合

一方、相続税では、

## 「死亡日時点」

で評価します。

しかも使用するのはTTB(銀行買取相場)が原則です。

つまり、

– 満期日時点
– 現在の為替レート

ではなく、

## 「亡くなった日のTTB」

が重要になります。

ここを誤ると、相続税評価額が大きく変わる可能性があります。

# 外貨建て保険は「保険」と「相続」と「為替」が絡む

外貨建て保険は、

– 保険税務
– 相続税
– 所得税
– 為替評価

が複雑に絡み合います。

さらに、

– 契約時
– 満期時
– 死亡時
– 解約時

それぞれで税務判断が変わります。

特に今回のような「据置保険金」は、

「死亡保険金だと思っていたら違った」

という誤解が非常に多い分野です。

# まとめ

外貨建ての据置保険金は、

保険契約がすでに満期で終了している場合、

## 「死亡保険金」ではなく相続財産

として扱われます。

そのため、

– 死亡保険金の非課税枠は使えない
– 相続人共有財産になる
– 一時所得の確認が必要
– 為替レートの判定時点が税目ごとに異なる

など、多くの実務論点があります。

外貨建て保険は、商品内容が複雑なうえ、
相続発生後に初めて問題が顕在化することも少なくありません。

「保険だから大丈夫」と考えず、

契約内容と税務上の位置づけを丁寧に確認することが重要ですね。