
ここ数年、NISAやiDeCoだけでなく、暗号資産(仮想通貨)への投資を行う方が増えています。
特に若い世代を中心に、
– ビットコイン
– イーサリアム
– NFT関連トークン
などを保有しているケースも珍しくありません。
一方で、暗号資産は価格変動が大きく、「利益が出た年に高額課税された」「損失が出ても税金面で救済が少ない」といった課題もありました。
そんな中、令和8年度税制改正では、暗号資産課税に大きな見直しが入りました。
今回は、公務員の方にも関係する可能性がある「特定暗号資産に係る譲渡損失の繰越控除」について、わかりやすく整理します。
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# これまでの暗号資産課税の問題点
従来、暗号資産の売却益は原則として「雑所得」とされ、総合課税の対象でした。
つまり、
– 給与所得
– 副業所得
– その他の所得
と合算されるため、所得が高い人ほど税率も上がる仕組みです。
場合によっては、住民税を含めると税率が50%を超えるケースもありました。
さらに問題だったのは、「損失の繰越」ができなかったことです。
たとえば、
– 2025年に300万円の利益
– 2026年に500万円の損失
が出ても、翌年に損失を繰り越して税負担を調整することはできませんでした。
株式投資と比較すると、不利な税制だったといえます。
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# 令和8年度税制改正で何が変わるのか?
今回の改正では、一定の条件を満たす「特定暗号資産」について、課税方式が見直されました。
大きなポイントは次の2つです。
## ① 分離課税へ変更
一定の特定暗号資産については、他の所得とは分離して課税されることになりました。
税率は、
– 所得税15%
– 住民税5%
– 復興特別所得税
を合わせた、いわゆる「約20%課税」に近いイメージです。
これは株式譲渡益課税に近い考え方になります。
給与所得と切り離されるため、公務員の方にとっても税率面のインパクトは大きいでしょう。
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# ② 譲渡損失の3年間繰越控除が可能に
今回、特に注目されているのがこの制度です。
一定の条件を満たした暗号資産取引について、損失を翌年以後3年間繰り越せるようになりました。
つまり、
– 今年損失が出た
– 翌年以降に利益が出た
という場合、過去の損失と相殺できる可能性があります。
これは投資家にとって非常に大きな改正です。
価格変動が大きい暗号資産では、単年度だけで税負担を考えると不公平感が強かったため、税制が実態に近づいたともいえます。
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# ただし「誰でも適用できる」わけではない
注意点もあります。
今回の制度は、すべての暗号資産取引が対象になるわけではありません。
対象となるのは、
– 金融商品取引業者登録簿に登録されたもの
– 一定の条件を満たす特定暗号資産
– 暗号資産取引業者を通じた取引
などに限定されています。
つまり、
– 海外取引所
– 個人間取引
– 一部のDeFi取引
などは対象外となる可能性があります。
今後は、「どこで取引するか」も税務上重要になる時代といえそうです。
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# 公務員こそ注意したい「確定申告」
公務員の方の中には、
「副業は禁止だから関係ない」
と思われる方もいるかもしれません。
しかし、暗号資産取引による利益は、勤務先への副業申請とは別に、税務上は申告義務が発生する可能性があります。
特に、
– 利益確定
– ステーキング報酬
– NFT売却
– 暗号資産同士の交換
などは課税対象になる場合があります。
また、今回の損失繰越制度を利用するには、
– 確定申告書の提出
– 必要書類の添付
– 継続した申告
が要件となっています。
「損失だから申告しなくていい」と考えてしまうと、将来の繰越控除が使えなくなる点には注意が必要です。
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# 税制改正は“資産形成のルール変更”
今回の改正は、単なる税率変更ではありません。
暗号資産が「投機」から「金融資産の一部」へ近づいている流れとも感じます。
今後は、
– 税務管理
– 資産管理
– 取引履歴の保存
– 確定申告対応
などを、より丁寧に行う必要が出てくるでしょう。
特に公務員の方は、「本業が忙しく税務管理が後回しになりやすい」という傾向もあります。
だからこそ、
「利益が出た後」ではなく、
「取引を始める前」から税務を理解しておくことが重要です。
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# まとめ
令和8年度税制改正では、特定暗号資産について、
– 分離課税の導入
– 3年間の損失繰越控除
という大きな見直しが行われました。
これにより、暗号資産投資の税務は株式投資に近い形へ変化しつつあります。
一方で、
– 対象取引の限定
– 確定申告要件
– 継続申告の必要性
など、実務上の注意点も少なくありません。
暗号資産は「利益が出たら終わり」ではなく、
“税務まで含めて投資”の時代に入ったといえるでしょう。