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配偶者への贈与には非課税枠がありますか?

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2025.10.10

配偶者への贈与には非課税枠がありますか?知らないと損する「おしどり贈与」の仕組み

夫婦の間で財産を贈与するケースは少なくありません。たとえば、マイホームを妻名義にしたい場合や、老後資金を配偶者に移しておきたい場合などです。そんなとき、「配偶者への贈与には非課税枠がある」と耳にする方も多いでしょう。この記事では、いわゆる「おしどり贈与」と呼ばれる特例制度について、わかりやすく解説します。

### 配偶者への贈与は最大2,000万円まで非課税になる

結論から言うと、配偶者への贈与には「贈与税の配偶者控除」という特例があり、一定の条件を満たすと**最高2,000万円まで非課税**になります。
通常、贈与税は1年間で110万円を超える贈与に対して課税されますが、この制度を使えば住宅や土地などの贈与に関して大幅に税負担を軽減できます。

### 配偶者控除が適用される条件

この特例を利用するには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

1. **婚姻期間が20年以上であること**
結婚してから20年以上経過している夫婦が対象です。「入籍から20年」なので、事実婚は対象外です。

2. **贈与の対象が居住用不動産またはその取得資金であること**
自宅として住む土地や建物、もしくはそれを購入するための資金に限定されます。現金や株式などは対象外です。

3. **実際にその不動産に居住していること**
贈与を受けた配偶者が、その不動産に実際に住んでいる必要があります。形式だけの贈与では認められません。

4. **同じ配偶者からこの特例を受けるのは一生に一度**
一度この特例を利用すると、再度同じ配偶者から贈与を受ける際には適用できません。

これらの条件を満たせば、贈与税の基礎控除110万円と合わせて、**合計2,110万円まで非課税**になります。

### よくある誤解:現金贈与や預金移動は対象外

よくある勘違いが、「現金で2,000万円を渡しても非課税になる」というものです。
実際には、配偶者控除の対象となるのはあくまで「居住用不動産」または「その取得資金」に限られます。単なる現金の贈与や預金の名義変更では、通常どおり贈与税の課税対象になります。

また、「婚姻20年未満でも少額なら非課税になる」という誤解もありますが、2,000万円の非課税枠はあくまで20年以上の婚姻期間を条件としています。それ未満の場合は、通常の年間110万円の基礎控除しか使えません。

### 実務での注意点:登記と申告が重要

おしどり贈与を行う場合、**登記と申告の手続き**を忘れずに行うことが重要です。

まず、不動産を贈与する際は、受け取る配偶者の名義に登記を変更します。この登記を怠ると、特例の適用を受けることができません。

さらに、非課税枠内の贈与であっても、**贈与税の申告書の提出が必要**です。申告しなければ税務署から指摘を受け、後日課税されるリスクがあります。申告期限は贈与の翌年の3月15日までとなっています。

また、不動産取得税や登録免許税といった他の税金が発生する場合もあるため、贈与前に全体の税負担を確認しておくことが大切です。

### 専門家によるサポート:税理士・行政書士の役割

贈与税の配偶者控除はメリットが大きい反面、適用条件が細かく、申告手続きも複雑です。
そのため、実際に贈与を行う際は**税理士や行政書士に相談することをおすすめ**します。

税理士は、贈与税の申告や土地評価の確認、将来的な相続税対策まで含めてトータルでサポートしてくれます。
行政書士は、贈与契約書の作成や登記に関する書類整備を支援できます。専門家の助言を受けることで、後から「手続きに不備があって非課税が認められなかった」というリスクを避けることができます。

### まとめ:条件を満たせば大きな節税に

配偶者への贈与には、婚姻20年以上の夫婦に限って最大2,000万円まで非課税になる特例があります。
ただし、対象は居住用不動産に限られ、登記・申告といった手続きを適切に行うことが前提です。
夫婦間の財産移転を円滑に進めたい方は、贈与の前に必ず税理士などの専門家へ相談し、最適な方法を選びましょう。