
「そろそろ自分の遺言書を考えておこうか…」
そう感じ始める世代にとって、遺言書は“自分の最後のメッセージ”とも言える大切な書類です。特に公務員として人生を全うしてこられた方々には、家族や社会に対して感謝や想いを伝えたいという気持ちが強いのではないでしょうか。
今回は、遺言書に「何が書けるのか?」という基本とともに、法的効力を持たないけれど“想い”を伝えるためにとても大切な「付言(ふげん)」について、公務員の方の視点で解説します。
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## 遺言書にはどんなことが書けるのか?
法律で定められている「遺言書に書けること」は、「**法定遺言事項**」と呼ばれます。主に次のような内容です:
### 【身分に関すること】
– 子どもの認知(民法781条)
– 未成年後見人の指定(民法839条)
– 相続人の廃除やその取消し(民法893・894条)
### 【財産に関すること】
– 財産の配分(相続分の指定/民法902条)
– 相続人以外への財産の贈与(遺贈/民法964条)
– お墓や仏壇の管理を誰に任せるか(祭祀主宰者の指定/民法897条)
### 【遺言の執行に関すること】
– 遺言執行者の指定(民法1006条)
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## 【質問①】孫に教育資金を渡したい。できる?
できます。これは「遺贈(いぞう)」に該当し、遺言で相続人以外の人に財産を渡すことができます。
今回のように、孫(法定相続人ではない)へ預貯金の一部を渡すことも、**特定遺贈**として明確に記載することで実現可能です。
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## 【質問②】遺言に家族への感謝を書きたい。できる?
もちろん、書けます。これは「**付言事項(ふげんじこう)**」といって、**法的効力はないものの、遺族の心に強く届く“言葉の遺産”**になります。
たとえば、こんな書き方ができます:
> 「この遺言によって、家族の仲が悪くなるようなことがあっては本意ではありません。私は妻と子どもたち、そして孫にとても感謝しています。孫には勉学に励んで立派に育ってほしいと願っています。」
こうしたメッセージは、遺産分割をめぐる争いを防ぐ**精神的な効果**が非常に高く、遺言書を“温かいもの”に変えてくれます。
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## 公務員としての生き方を、最後にどう伝えるか
公務員として、誠実に職務を果たしてこられた人生。それは、家族にとっても、社会にとっても大きな誇りです。
遺言書は、**自分の生き方や価値観を伝える最後の手段**でもあります。財産の分け方だけでなく、「どう生き、何を大切にしてきたのか」を言葉で残してみてはいかがでしょうか。
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## まとめ:遺言は“法”と“想い”のバランスで
– 相続人以外への財産の譲渡 → 「遺贈」として可能
– 想いや感謝を伝える → 「付言事項」で自由に記載可能
遺言書は、「自分の死後に起こることをコントロールするもの」ではなく、「家族と自分の関係を、より良くつなげるためのもの」です。
特に公務員として多くを背負ってきた方こそ、人生の最後に“言葉”で家族へバトンを渡す準備を、今から始めてみてはいかがでしょうか。