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贈与税の配偶者控除とは?適用条件と注意点を解説

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2025.09.28

夫婦間で資産を譲り渡す際に、大きな税負担を軽減できる制度として「贈与税の配偶者控除」があります。これは、婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産やその購入資金の贈与に対して、贈与税の課税価格から最大2,000万円まで控除できるという特例です。老後の住まいや相続対策として活用されることも多く、制度の正しい理解が重要です。

贈与税の配偶者控除の基本概要

贈与税の配偶者控除は、贈与税法第21条の6に基づく制度で、婚姻期間が20年以上の配偶者に対し、居住用不動産またはその購入資金を贈与した場合に、基礎控除(年間110万円)とは別に最高2,000万円までの控除が認められます。この特例を利用することで、最大2,110万円まで贈与税が非課税になる可能性があります。

この制度の目的は、長年連れ添った夫婦間の生活安定や相続前の資産移転をスムーズに行うことにあります。特に高齢者夫婦にとって、安心して資産を渡す手段として非常に有効です。

適用条件と要件

贈与税の配偶者控除を受けるには、いくつかの厳格な条件を満たす必要があります。まず、贈与が行われた時点で婚姻期間が20年以上であること。次に、贈与の対象が「居住用不動産」またはその購入資金であること。そして、贈与を受けた配偶者が、その不動産に実際に居住する見込みがあることも必要です。

また、贈与を受けた翌年の3月15日までに、贈与税の申告書と共に必要な書類(婚姻期間を証明する戸籍謄本、不動産の登記事項証明書など)を税務署に提出する義務があります。申告を怠ると控除は適用されないため注意が必要です。

制度利用の際の注意点

この特例は一生に一度しか利用できません。そのため、利用のタイミングや贈与の金額には慎重になるべきです。また、控除対象となる不動産は日本国内に限られるため、海外不動産は対象外となります。

さらに、贈与された不動産の名義変更後に離婚した場合、その不動産が共有財産として分与対象になる可能性もあります。この点からも、制度利用の際には将来のライフプランを見据える必要があります。

士業(行政書士・税理士など)としての視点では、控除の適用可否の判断や申告書作成のサポート、不動産の名義変更手続きなどで専門的な助言が求められる場面が多く、プロのサポートを受けることで安心して制度を活用できます。

不動産取得後の税務上の影響

贈与を受けた配偶者が不動産を取得した場合、その後の固定資産税や将来の相続税評価にも影響が出る可能性があります。贈与税が非課税となっても、不動産を所有することに伴う維持費や税負担を見越した資金計画が必要です。

また、相続時において、既に生前贈与を受けていたことが他の相続人との間で問題になるケースもあるため、遺言書や家族会議を通じた資産承継計画の整備も重要です。

まとめ

贈与税の配偶者控除は、夫婦間で安心して資産を譲るための強力な制度ですが、適用には厳格な条件があり、一生に一度しか使えないという制限もあります。誤った使い方をすると控除が受けられないリスクもあるため、制度を活用する際は、税理士や行政書士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。適切な手続きを踏めば、老後の生活設計や相続対策に大きく役立つ制度です