staffblog スタッフブログ

相続税評価 「路線価方式」と「倍率方式」の違いを比較

スタッフブログ

2025.12.01

相続財産評価で「路線価方式」と「倍率方式」の違いを比較

相続税申告において土地の評価は、課税額を大きく左右する重要なポイントです。その中でも代表的な評価方法が「路線価方式」と「倍率方式」の2つです。どちらの方式が適用されるかによって評価額が大きく異なることもあるため、仕組みを正しく理解しておくことが不可欠です。特に行政書士や税理士、または相続手続きを扱う専門家にとっても、適切な方式の判断は実務上の焦点となります。本記事では両者の違いを徹底比較し、相続手続きに役立つ知識としてわかりやすく解説します。

路線価方式の概要と特徴
路線価方式とは、国税庁が毎年公表する「路線価」を基準に土地を評価する方法で、市街地など道路に接する土地に適用されます。路線価は道路ごとに1㎡あたりの価値を示したもので、現実の売買価格(実勢価格)の8割程度を目安として設定されています。土地が複数の道路に面している場合や、奥行や形状に特徴がある場合は補正率を用いて評価額を算出します。都市部ではほとんどが路線価方式を採用するため、扱う頻度が高い評価方法と言えます。士業としては、補正率の適用や地積測量図との整合性確認など、正確な評価に向けた実務判断が求められます。

倍率方式の概要と特徴
倍率方式は、路線価が定められていない地域の土地に対して適用される評価方法です。「固定資産税評価額」に国税庁が定める「倍率」を掛け合わせて算出するシンプルな計算方式で、主に郊外や農村部など路線価の設定がない地域で利用されます。路線価方式ほど複雑な補正が不要なため、比較的取り扱いやすい評価方法ではありますが、固定資産税評価額そのものが地域によってバラつきがあるため、現実の資産価値との差異が大きくなるケースもあります。士業としては、固定資産税評価額の把握や自治体ごとの評価傾向を把握した上で適正な倍率確認を行うことが重要です。

両方式の違いと評価額への影響
路線価方式と倍率方式の違いは、評価の基準となるデータが「道路に設定された路線価」なのか「固定資産税評価額」なのかという点にあります。一般に路線価方式は細かな補正を加えて実勢価格に近づける仕組みのため、精度が高い評価が可能です。一方、倍率方式は地域の評価額に大きく依存するため、実勢価格より低めに算定されることが多い傾向があります。そのため同じ広さの土地でも、どちらの評価方式が適用されるかで評価額が大きく変わるケースがあります。相続税額の計算に直接影響するため、専門家は方式選定の根拠を丁寧に説明し、納税者が理解しやすい形で情報を整理する必要があります。

専門家視点から見た実務上の注意点
実務では、路線価方式が適用できるかどうかをまず確認し、路線価図の読み間違いや補正率の適用漏れがないよう注意することが重要です。また倍率方式では、最新の倍率表の確認や固定資産税評価額の更新年度の把握が欠かせません。さらに、地目の変更や利用実態によって評価方法自体が変わることもあり、行政書士・税理士としては土地利用状況の聞き取りや現地確認が求められる場面も多くあります。

まとめ
相続財産評価における「路線価方式」と「倍率方式」は、どちらが適用されるかで土地の評価額が大きく変わる重要な要素です。相続税申告の精度を高めるためには、両方式の特徴を理解し、適切な評価手続きを進めることが不可欠です。評価に迷う場合や土地の状況が複雑な場合には、税理士や行政書士など相続に詳しい専門家に相談することで、正確で安心な遺産分割と申告につながります。