
海外に預金や不動産、金融資産を持つ方が増える中、「国外財産調書」という制度が相続にも影響することをご存じでしょうか。
実はこの制度、相続税の申告漏れがあった場合に“加算税が重くなるかどうか”を左右する重要なポイントになります。今回は、相続人の方にも関係する「国外財産調書と相続税」の関係をわかりやすく解説します。
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■ 国外財産調書とは?
国外財産調書とは、海外に一定額以上の資産を持っている人が提出する書類です。
具体的には、
・12月31日時点で
・海外財産の合計が5,000万円を超える場合
・翌年6月30日までに提出
が義務となっています。
対象となる主な財産は、
・海外の銀行口座
・外国株式
・海外不動産
・海外投資信託
などです。
近年は、海外証券口座や外国ETFなどを保有する方も増えており、決して一部の富裕層だけの制度ではなくなってきています。
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■ 提出していないと「加算税が重くなる」
この制度の特徴は、税務調査で申告漏れが見つかったときの扱いです。
もし申告漏れがあった場合、
【調書を提出している】
→ 加算税が5%軽減
【調書を提出していない】
→ 加算税が5%加重
となります。
つまり、
「きちんと情報開示している人は軽く」
「隠れている可能性がある人は重く」
という仕組みになっています。
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■ 相続では「被相続人と相続人の両方」が影響
ここが意外と知られていないポイントです。
相続税の申告漏れがあった場合、次の調書がチェックされます。
① 被相続人
相続開始年の前年分の国外財産調書
② 相続人
相続開始年の年分の国外財産調書
③ 相続人
相続開始年の翌年分の国外財産調書
このうち **1つでも提出されていないと、加算税が加重される可能性** があります。
つまり、
・相続人がきちんと提出していても
・被相続人が生前に提出していない
この場合でも、加算税が重くなる可能性があるのです。
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■ 実務上よくあるリスク
実際の相続相談で見かけるケースとしては、
・親が海外口座を持っていた
・家族が存在を知らなかった
・申告時に把握できなかった
というケースです。
さらに、
・親が国外財産調書を出していない
・相続税申告で国外財産の漏れが見つかる
この場合、通常より重い加算税が課される可能性があります。
つまり、**相続が始まってからでは対策が難しい制度**なのです。
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■ 生前からの情報整理が重要
この制度から見える大切なポイントは、
「海外資産は家族に共有しておくこと」
です。
例えば、
・海外口座一覧
・海外証券口座
・海外不動産
・国外財産調書の提出状況
こうした情報を生前に整理しておくだけで、相続のリスクは大きく下がります。
相続対策というと、
・節税
・遺言
・贈与
に目が向きがちですが、実は **「情報の見える化」も重要な相続対策**なのです。
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■ まとめ
国外財産調書は、
・海外資産5,000万円超で提出義務
・申告漏れ時の加算税に影響
・相続では「被相続人と相続人の両方」が関係
という特徴があります。
海外資産がある場合、
相続対策は「亡くなった後」ではなく、**生前からの整理がカギ**になります。
もし、
「親が海外資産を持っているかもしれない」
「国外財産調書が必要かわからない」
という場合は、早めに専門家へ相談しておくと安心です。
将来の相続トラブルや余計な税負担を防ぐためにも、今のうちから準備を進めておきましょう。