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相続税の「障害者控除」、誰が使える?公務員相続人が知っておきたい基本と注意点

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2026.01.06

相続税の制度の中でも、「障害者控除」は該当すれば税負担を大きく軽減できる重要な制度です。一方で、「どんな人が対象になるのか」「手帳がないと使えないのか」など、誤解も多いのが実情です。
今回は、身体障害者手帳1級をお持ちの相続人がいるケースをもとに、障害者控除の仕組みと、公務員として知っておきたい実務上のポイントを整理します。

## 障害者控除とはどんな制度か

障害者控除とは、相続や遺贈によって財産を取得した相続人が一定の要件を満たす場合に、**相続税額から直接差し引くことができる税額控除**です。

ポイントは、「相続税の計算上の控除(基礎控除)」ではなく、**算出された相続税額から差し引く**という点です。該当すれば節税効果は非常に大きくなります。

## 障害者控除を受けられる人の3つの要件

障害者控除を受けるためには、次のすべてを満たす必要があります。

1. 相続等により財産を取得した時点で、日本国内に住所があること
2. 相続等により財産を取得した時点で「障害者」に該当していること
3. その人が法定相続人であること
(相続放棄があった場合は、放棄がなかったものとして判定)

今回のご相談では、妹様は法定相続人であり、日本国内居住、かつ障害者に該当するため、要件を満たします。

## 「障害者」に該当する人の範囲は意外と広い

障害者控除の対象となる「障害者」は、必ずしも重度の身体障害者に限られません。

代表的な例としては次のような方が含まれます。

– 身体障害者手帳1級~6級を持っている人
– 精神障害者保健福祉手帳を持っている人
– 知的障害者と判定された人
– 要介護状態で、市町村長の認定を受けた高齢者 など

特に注意したいのは、**身体障害者手帳6級でも「一般障害者」として控除対象になる**点です。
「1級や2級でないと使えない」と思い込んで、適用漏れになるケースは少なくありません。

## 一般障害者と特別障害者の違い

障害者控除では、次の2区分があります。

– 一般障害者
– 特別障害者

身体障害者手帳1級または2級を持っている方は、**特別障害者**に該当します。

ご相談の妹様は「身体障害者手帳1級」をお持ちとのことですので、特別障害者に該当します。

## 控除額はいくらになるのか

控除額は、「85歳までの残り年数」に応じて計算します(1年未満切上)。

<計算式>
– 一般障害者:10万円 × 85歳までの年数
– 特別障害者:20万円 × 85歳までの年数

今回のケースでは、

– 妹様:65歳
– 特別障害者

となりますので、

20万円 ×(85歳 − 65歳)= **400万円**

この400万円を、妹様の相続税額から直接控除できます。

## 控除しきれない場合はどうなる?

もし妹様の相続税額が、仮に300万円だった場合、400万円の控除額を全額使い切れません。

この場合、残りの100万円は、**扶養義務者の相続税額から控除**することができます。

扶養義務者には、
– 兄弟姉妹
– 直系血族
などが含まれます。

どの相続人の税額から控除するかは、相続人間で選択できます。

## 公務員の方が特に注意したいポイント

公務員の方は「税務は税務署がすべて見てくれる」と思われがちですが、**相続税申告は自己責任**です。

特に障害者控除は、
– 自動的に適用されない
– 申告書に正しく記載しなければ使えない

という点で、申告漏れが起きやすい制度です。

また、過去の相続で障害者控除を使っている場合は、控除額に制限がかかることもあります。初めての相続であっても、制度の全体像を理解したうえで進めることが重要です。

## まとめ

✔ 身体障害者手帳1級の相続人は、障害者控除を適用できる
✔ 控除額は「85歳までの年数」で計算し、特別障害者は年20万円
✔ 控除しきれない場合は、他の相続人の税額から控除可能
✔ 手帳の等級に関わらず、該当範囲は意外と広い
✔ 申告しなければ適用されないため、専門家チェックが重要

相続税は、「知っているかどうか」で結果が大きく変わる分野です。
とくに障害者控除は、人への配慮を制度として形にした重要な仕組みです。

ご家族の想いと財産を守るためにも、制度を正しく理解し、適用漏れのない相続を進めていきましょう。