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相続登記をしていなかったらどうなる? 「父の名義のまま」で二度目の相続が起きたときの正しい対応

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2026.03.31

「父が亡くなったときに母が相続したけれど、名義変更をしていなかった」
そして、その後に母も亡くなり、今度は子が相続することになった。

このように“登記をしないまま次の相続が発生する”ケースは、実は珍しくありません。
2024年から相続登記が義務化されたこともあり、「どうすればよいのか」と不安に感じている相続人の方も多いのではないでしょうか。

今回は、「父の名義のまま二度の相続が起きた不動産」の登記について、実務上の考え方と注意点をわかりやすく整理します。

## まず押さえておきたい原則
### 所有権は「登記」ではなく「相続」で移転しています

今回のケースでは、登記名義が父のままであっても、法律上の所有権は次の順で移転しています。

父 → 母 → 子

つまり、登記がされていなくても、相続が発生した時点で所有権は移っている、というのが大前提です。

ここは非常に重要なポイントです。
「名義が父のままだから、まだ父のもの」と思われがちですが、実体としてはすでに母、そして子へと権利は移転しています。

## 原則は「2回の相続登記」
通常は次の2段階で登記を行います。

① 父から母への相続登記
② 母から子への相続登記

これは、権利の移転の流れをそのまま登記に反映させる、という考え方です。

ただし、ここで実務上の大切なポイントがあります。

## 条件を満たせば「1回の登記」で済むこともある
次のような条件がそろっている場合には、例外的に「1回の登記」で直接、父から子へ名義変更することが認められています。

代表的な条件は次のとおりです。

・最初の相続(父→母)で取得者が1人に確定している
・遺言書や遺産分割協議書などの証拠書面がある
・権利関係が明確で争いがない

この場合、登記の形式としては「父 → 子」と直接移転したように見えますが、登記原因の欄に、

「〇年〇月〇日 母相続」
「〇年〇月〇日 子相続」

と記載することで、実際の権利移転の流れ(父→母→子)がきちんと反映されます。

実務ではこの方法がよく使われます。
手続がシンプルになり、費用や時間の負担も軽減できるためです。

## 2024年からは「相続登記が義務」になっています
ここは現在の相続で特に重要な点です。

相続登記は、
「相続を知った日から3年以内」
に行う義務があります。

正当な理由なく放置した場合は、

10万円以下の過料

が科される可能性があります。

今回のように、過去の相続で登記をしていなかった場合でも、

・現在その不動産を相続した人
・登記義務を負う立場になった人

には、義務が生じます。

つまり、

「昔のことだから大丈夫」
ではなく、
「今、相続した時点からカウントが始まる」

と理解しておくことが大切です。

## 税務面でも見落としやすいポイント
税理士の立場から、もう一つお伝えしたい重要な視点があります。

それは、

登記をしていなくても
相続税や固定資産税の問題は進んでいく

ということです。

例えば、

・名義が父のままでも、実際の所有者として課税される
・売却や活用の際に手続が止まる
・相続人が増えるほど手続が複雑になる

といった問題が現実に起こります。

特に時間が経つほど、

相続人が亡くなる
相続人が増える
書類がそろわない

という「手続の難易度の上昇」が起きます。
ここが実務上、最も大きなリスクです。

## まとめ
「名義変更をしていないだけ」
と思っていたことが、次の相続で大きな負担になる。

これは、現場で本当によく見てきたケースです。

今回のポイントを整理すると次の3つです。

・所有権は「父 → 母 → 子」とすでに移転している
・原則は2回の登記だが、条件がそろえば1回でできる
・相続登記は義務なので、早めの対応が重要

相続は、時間が経つほど難しくなります。
逆に言えば、早く動くほどシンプルに解決できます。

もし
「名義が昔のままになっている」
「親の代の手続が終わっていない」
という状況があれば、いまが整理の良いタイミングかもしれません。

将来のご家族の負担を減らすためにも、
“今できる一歩” を踏み出していただければと思います。