
2024年4月からスタートした「相続登記の義務化」。
不動産を相続したら、3年以内に登記しなければならないという新たなルールです。
しかし、相続人の中に認知症の方がいる場合、遺産分割協議ができず、登記手続きが進まないことも…。
今回は、そんなケースに直面している相続人の方へ、税務・法律に精通した視点から対応策を解説します。
【目次】
1. 相続登記の義務化とは?
2. 認知症の相続人がいるときの問題点
3. 選べる2つの対応策
4. 手続きの簡素化で活用しやすくなった制度
5. まとめと専門家への相談のススメ
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## 1. 相続登記の義務化とは?
2024年(令和6年)4月から、不動産を相続した場合は【3年以内に登記する義務】が課されます(不動産登記法76条の2)。
これに違反すると、**10万円以下の過料**が科される可能性があります。
背景にあるのは、相続登記が放置されることで不動産の管理が難しくなり、所有者不明土地が増加しているという社会問題です。
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## 2. 認知症の相続人がいるときの問題点
今回の相談者のように、相続人の一人が認知症の場合、**遺産分割協議ができない**という問題が発生します。
この場合、成年後見人を選任しない限り正式な協議は成立しませんが、選任には手間と費用がかかります。
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## 3. 選べる2つの対応策
### 方法①:相続人申告登記(76条の3)
認知症の方以外の相続人(今回で言えば相談者とお姉様)が行える、**簡易な申告手続き**です。
ただし、認知症の母はこの手続きの対象外となるため、全体としての義務履行にはなりません。
### 方法②:法定相続分での相続登記
最も実効性の高い対応がこちら。
**法定相続分(今回の場合は母2分の1、相談者・姉が各4分の1)で登記をする**ことで、義務を履行できます。
この登記は、他の相続人の同意がなくても進められ、後日、後見人が選任されたうえで正式な遺産分割協議を経て、**所有権更正登記**により希望の内容に修正可能です。
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## 4. 手続きの簡素化で活用しやすくなった制度
2023年4月の法改正により、**遺産分割後の登記手続きが大幅に簡素化**されました。
例えば:
– 登記申請は取得者(相談者)だけで可能
– 他の相続人の印鑑証明書や委任状は不要
– 登録免許税は**1物件あたり1,000円**と低額化
こうした制度変更により、法定相続分で一旦登記し、後から希望の形に整えることがしやすくなっています。
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## 5. まとめと専門家への相談のススメ
相続登記の義務化により、「手続きが進められないまま」では済まされなくなりました。
ですが、認知症の相続人がいる場合でも、**法定相続分での登記**という現実的な対応策が用意されています。
とはいえ、事案ごとに法的な判断や書類作成は異なるため、**司法書士などの専門家への相談**を強くおすすめします。
こうした複雑な相続対応も、「知っている」だけでぐっと道が開けます。
ご自身だけで悩まず、まずは一歩を踏み出してみてください。