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相続した「共有の私道」、どうするべきか?〜見落としがちな相続土地の落とし穴〜

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2025.12.09

相続財産の中に「第三者と共有の公衆用道路」が含まれていたら——。
一見、あまり価値がなさそうな土地ですが、実は放置するとトラブルの火種になりかねません。
今回は、相続人として知っておきたい「私道共有」の落とし穴と対策を、専門家の視点で解説します。

## 公衆用道路=公道とは限らない?

「公衆用道路」と聞くと、誰でも通れる「公道」をイメージされる方も多いかもしれませんが、相続登記簿でこの記載があるからといって、実際の所有者が地方公共団体であるとは限りません。
今回のように、全く面識のない第三者と「共有」状態になっている場合、その土地は“私道”である可能性が高いです。

## 私道とは? その特徴と制約

私道とは、個人や法人が所有している道路のこと。
住宅開発などで整備された道路が、寄附等によって公道になっていない場合などによく見られます。

私道には以下のような特徴があります:

– **所有権が個人や民間にある**:相続や売買で所有者が変わる。
– **維持管理は自己負担**:修繕や舗装に費用がかかる。
– **共有者の同意が必要**:工事や建築時の制約が多い。
– **通行権の問題が生じる**:他人に使わせる義務があるとは限らない。
– **不動産価値への影響**:私道にしか接していない土地は価値が下がる傾向。

一方で、開発道路や位置指定道路など、一定の基準を満たした私道であれば、資産価値には大きく影響しないケースもあります。

## 相続した私道、どうするべきか?

問題は、「自分が住んでいる土地のために使う道」ではなく、「全く無関係な土地の私道を共有している」場合。
このケースでは以下のようなリスクが想定されます:

– 管理義務(草刈りや舗装等)の負担
– 通行や建築許可などの承諾依頼が来る
– 他の共有者が行方不明で協議ができない
– 将来売却するにも他人との共有がネックになる

こうした状況を放置しておくと、相続人が増えるたびに共有者が複雑化し、トラブルの芽を残すことになります。

## 専門家としてのアドバイス

まずは、**その私道が「何のための道なのか」を確認すること**が最優先です。
接している土地を持っているなら、今後の活用や売却に備えて「共有持分の整理」や「持分取得」も視野に。
もし私道だけを所有しているなら、他の共有者との交渉で「持分の譲渡」「贈与」「無償での引き渡し」などを検討すべきです。

また、共有者不明のまま放置されるケースが全国的にも増加しており、国も登記義務化や管理制度の整備を進めています。
いま動けば“自分の代”で対処できますが、先送りすれば“次の代”で深刻な問題になります。

## まとめ:見えない負債を相続しないために

「土地を相続した=資産が増えた」と思いがちですが、共有の私道は“見えない負債”になり得ます。
だからこそ、相続した土地の中に見慣れない「共有地」があったら、必ず専門家に調査を依頼してください。
将来の家族のためにも、“今”の行動が大切です。

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