
「とりあえず実家はそのままにしている」
「遠方にあって、なかなか手を付けられていない」
相続をきっかけに“空き家の所有者”となった方から、こうした声をよく耳にします。
しかし近年、空き家の増加は社会問題となっており、**空き家を放置すること自体が大きなリスク**になっています。
特に相続された空き家の多くは築年数が古く、管理不十分のまま時間が経過しがちです。
今回は、実家が空き家になっている相続人の方に向けて、空き家を放置することで生じる主なリスクと、今から取るべき考え方を整理します。
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■ 空き家の多くは「相続」がきっかけ
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国の調査によると、全国の空き家のうち**約6割が相続をきっかけに発生**しています。
さらに、その相続空き家の**7割超が1981年(昭和56年)以前に建築**された住宅です。
1981年6月1日以前に着工された建物は、いわゆる**旧耐震基準**で建てられており、
現行基準と比べると、大地震時に倒壊・損壊するリスクが高いとされています。
「今は何も起きていないから大丈夫」
そう思っている間にも、建物は確実に劣化していきます。
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■ リスク① 建物の老朽化による安全面の問題
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人が住まなくなった家は、想像以上のスピードで傷みます。
・換気や清掃が行われない
・湿気がこもり、カビが発生
・木材の腐食、鉄部の錆が進行
屋根や外壁の小さな破損を放置すると、雨漏りや構造劣化につながり、
**最悪の場合、倒壊事故**を引き起こす可能性もあります。
倒壊や外壁の落下によって、
・隣家に被害を与えた
・通行人がケガをした
といった場合、**所有者として損害賠償責任を問われるリスク**がある点は見逃せません。
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■ リスク② 防犯・近隣トラブルのリスク
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空き家は、人の目が届きにくいため、
・不審者の侵入
・不法投棄
・放火や犯罪の拠点化
といったリスクが高まります。
窓や扉の破損を放置していると侵入されやすくなり、
結果として**近隣住民の不安や地域の治安悪化**につながることもあります。
「実害が出てから」では、対応が後手に回りがちです。
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■ リスク③ 経済的な負担が一気に重くなる
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空き家を放置することで、経済的な負担も増えていきます。
・建物の劣化により、売却価格が下がる
・賃貸に出すにも、多額の修繕費が必要になる
さらに注意したいのが、**税金面のリスク**です。
管理状態が悪い空き家は、行政から「特定空家等」に認定される可能性があります。
その場合、
・固定資産税の住宅用地特例が解除
・固定資産税が最大で6倍に増加
といった、非常に重い負担が発生します。
加えて、改善命令や撤去命令に従わない場合には、
**過料などの罰則**を受ける可能性もあります。
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■ 相続人が今から考えるべきこと
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空き家問題で重要なのは、
「いつか考える」ではなく、**早めに方向性を決めること**です。
選択肢としては、
・定期的な管理を行い、現状維持する
・賃貸として活用する
・売却する
・リフォームして再利用する
・自治体の空き家活用制度を検討する
などがあります。
どれが正解かは、立地や建物の状態、相続人の意向によって異なりますが、
**何もしないことが最もリスクが高い**という点だけは共通しています。
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■ まとめ
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実家が空き家になった場合、
それは「使っていない不動産」ではなく、
**管理責任を伴う資産**です。
老朽化・防犯・税金という3つのリスクは、
時間の経過とともに確実に大きくなります。
相続人としての責任を果たし、
将来の負担を軽くするためにも、
ぜひ一度、空き家の現状と今後の選択肢を整理してみてください。
早めの行動が、資産価値と安心を守る第一歩になります。