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子縁組で相続税対策をするのは合法?節税に使う際の注意点を専門家が解説

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2025.12.03

相続税の負担を抑える方法として「養子縁組」が話題になることがあります。相続人の数が増えると基礎控除額が増えるため、節税に使えるという内容を耳にした方も多いでしょう。しかし、「本当に合法なのか?」「税務署に否認されることは?」という不安を持つ方も少なくありません。本記事では、養子縁組を利用した相続税対策の合法性と注意点を掘り下げて解説します。

結論:養子縁組を使った相続税対策は合法
相続税法では、相続人の人数に応じて基礎控除額が増えるため、養子を迎えることで相続税負担が軽減される可能性があります。適切な手続きによる養子縁組自体は完全に合法であり、節税効果を目的とすることも原則として否定されていません。ただし、相続税の計算上で養子の人数が制限されています。

解説:養子縁組と相続税の仕組み
相続税の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。養子がいる場合、法律上その人数も法定相続人に加算されます。
しかし、相続税法では養子について次のような上限が設定されています:

・実子がいる場合:養子は1人まで
・実子がいない場合:養子は2人まで

これは、基礎控除や生命保険金の非課税枠などを過度に広げる行為を防ぐためのものです。したがって、法律上は何人養子縁組をしても問題ありませんが、相続税の計算に反映される人数は上記の上限が適用されます。

また、養子縁組には「普通養子」と「特別養子」があり、相続関係や親子関係の扱いが異なるため、目的に応じた制度理解が重要です。

よくある誤解:「節税目的=違法」ではない
「節税目的で養子縁組をすると無効になるのでは?」と心配されることがあります。しかし、最高裁判例でも「節税目的があっても、養子縁組の実態が親子関係として妥当であれば有効」とされています。
無効と判断されるのは、当事者が親子としての意思を持たず、形式だけの養子縁組をした場合です。たとえば、高齢の被相続人が余命わずかで、直前に節税だけを目的に大量の養子縁組を行うなど“不自然な状況”では否認リスクが高くなります。

実務での注意点:手続と生活実態が重要
税務署に否認されないためには、以下のような点が重要視されます:

・養子縁組届の提出、住民票の変更などの正式手続が適切に行われている
・日常生活において親子としての交流がある
・扶養関係、生活の支援など親子らしい実態がある
・死亡直前だけの駆け込み養子縁組でない

また、養子を迎えることで他の相続人の取り分が減るため、家庭内のトラブルが発生しやすい点にも注意が必要です。

士業としての支援内容:節税設計から手続までサポート
行政書士・税理士・司法書士などの士業は、養子縁組に伴う書類作成、相続人構成のシミュレーション、節税効果の試算、相続税申告、関係者間の調整サポートなどを行います。特に税理士は、養子を活用した相続税対策の適法性やリスク評価を専門的にアドバイスできます。

まとめ
養子縁組による相続税対策は法律上認められており、適切に行えば有効な節税手段となります。ただし、形式だけの養子縁組は否認リスクが高いため、実態を伴った親子関係の構築が不可欠です。節税を検討する際は、早めに専門家へ相談し、手続と税務リスクを踏まえたうえで進めることをおすすめします。