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夫婦連生団信に加入する前に知っておきたい税務リスク|死亡時は一時所得、高度障害時は非課税?

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2025.04.28

住宅ローンを夫婦で組む際に注目されている「夫婦連生団信」。
万一の備えとして心強い一方で、死亡や高度障害が発生した場合、保険金により完済された住宅ローンには「税金がかかるケース」があることをご存じでしょうか。
今回は、一般的なケースを前提に、夫婦連生団信における税務上の取り扱いについて、わかりやすく解説します。

■ 夫婦連生団信とは?〜ペアローンや連帯債務との違い〜

夫婦連生団信とは、夫婦またはパートナーが共同で住宅ローンを組み、どちらか一方が死亡または高度障害となった際、
保険金によりローン残高全額が完済される仕組みの団体信用生命保険(団信)の一種です。

従来のペアローンや連帯債務の場合、死亡した本人の借入分のみが免除され、
残されたパートナーは引き続き返済義務を負うケースが一般的でした。
しかし、夫婦連生団信では、どちらか一方に万一の事態が起きた際、両方のローンがゼロになります。

これにより、残された家族の生活への影響を大きく減らすメリットが期待されています。

■ 夫婦連生団信の「完済」にも税金が関係する?

ここで気をつけたいのが、「完済されたローンは経済的な利益」であるという点です。
つまり、保険金によって住宅ローンが帳消しになる=得をしたとみなされ、課税対象になる可能性が出てきます。

具体的には、
死亡による完済 → 一時所得として課税対象
高度障害による完済 → 非課税
という扱いになります。

■ 一時所得とは?課税される金額のイメージ

「一時所得」とは、営利を目的としない突発的な収入を指します。
住宅ローンの完済分もこの一時所得に該当し、次のように課税額が計算されます。

【一時所得の金額】=(収入金額−支出金額−特別控除額50万円)×1/2

つまり、完済された金額がすべて課税対象になるわけではありません。
50万円の特別控除が適用されたうえ、さらに半分に圧縮されて課税されます。
とはいえ、金額によっては確定申告が必要になる場合もあり、事前の知識が重要です。

■ 高度障害時はなぜ非課税なのか?

高度障害による保険金完済分については、所得税基本通達9-20により「非課税」とされます。
これは、身体的な障害を受けた本人またはその配偶者が受ける保険金について、
実質的に生活補填の意味合いが強いため、課税の対象外とされているためです。

実務上も、高度障害と認定された場合、免除された住宅ローン完済分については税務申告不要となります。
ただし、障害の程度や認定基準には注意が必要であり、契約内容を事前に確認しておきましょう。

■ 【まとめ】夫婦連生団信を選ぶ前に知っておきたい3つのポイント

1. 夫婦連生団信では、どちらかが死亡または高度障害になった場合、住宅ローンが全額完済される。
2. 死亡による完済は一時所得として課税対象になるが、高度障害による完済は非課税。
3. 実際に課税対象となるかは完済金額や他の所得状況にもよるため、早めに専門家に相談を。

夫婦連生団信は、安心して住宅購入を進めるための強力な手段ですが、
その裏側に潜む税務リスクにも目を向けておくことが大切です。

ライフプランや相続設計も視野に入れ、万全な備えを整えましょう。

ご不明点や個別相談をご希望の方は、お気軽にクレメンティア税理士事務所までご連絡ください!