
2025年から新たに始まる「特定親族特別控除」。大学生のアルバイト就業を後押しする趣旨で創設されたこの制度ですが、実は“早生まれ”の子どもを持つ保護者の方には思わぬ落とし穴があります。今回は、公務員で大学生のお子さんを持つ保護者の方向けに、この控除制度の仕組みと注意点を解説します。
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【特定親族特別控除とは?】
まず、制度の概要を簡単に押さえておきましょう。
「特定親族特別控除」は、少子化や人手不足の社会背景を踏まえ、大学生などが就業調整(アルバイトの収入を扶養控除の枠内に抑える行為)をせずに働けるよう、親の税負担を軽減する目的で創設されました。
控除対象となるのは、以下の条件をすべて満たす親族です:
– 生計を一にしていること
– 年齢が**19歳以上23歳未満**であること(※年末時点)
– 合計所得金額が58万円超123万円以下であること
条件に合致すれば、親の所得から**最大63万円の所得控除**が受けられます。
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【「早生まれ」だと控除対象外に?】
さて、ここで注意すべきなのが「年齢要件」の判定基準です。
税法上の年齢は、その年の**12月31日時点**での年齢で判定されます。
つまり、大学1年生であっても、年末時点で19歳に達していなければ、「特定親族」には該当しません。
今回の相談者のケースを例に挙げると──
– ご長男:2007年2月1日生まれ(早生まれ)
– 大学入学:2025年4月(令和7年)
– 年末(2025年12月31日)時点での年齢:**18歳**
この場合、残念ながら2025年分の所得税では**特定親族特別控除の対象外**となります。
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【「制度の趣旨」と「現実」のギャップ】
大学生としてアルバイトをしているにも関わらず、たまたま誕生日が早いだけで控除を受けられない──
このような“取り残され感”に疑問を抱く保護者の方も少なくないでしょう。
制度設計の背景には、「年齢」で一律に判定したほうが行政運用上は分かりやすい、という事情があります。しかし、実務を知る立場からすれば、**学年ベースでの配慮**があってもよかったのでは?と感じるのも本音です。
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【保護者が取るべき選択肢は?】
今回のように対象外となる場合でも、次年度(2026年分)の所得税では年齢条件を満たすことになります。そのため、それ以降は控除の適用が可能です。
また、他にも「勤労学生控除」や「扶養控除(一般)」など、学生やその親に関係する控除制度は複数存在しますので、**適用できる他の控除がないか**、しっかり確認しましょう。
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【まとめ】
「特定親族特別控除」は、大学生の就業環境を整える有益な制度ですが、年齢要件という“見落としやすい壁”があります。特に“早生まれ”の大学1年生を持つご家庭は、2025年分ではこの控除の適用が受けられない点に注意が必要です。
今後の確定申告や年末調整で損をしないためにも、「制度の細かい条件」こそ、早めに知っておきましょう。
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👨👩👧👦【公務員の皆さまへ】
年末調整でミスを防ぐために、税制改正のポイントや判定基準を職場で共有しておくこともおすすめです。