
単身赴任中にマイホームを売却した場合、「自分は住んでいなかったから3,000万円控除は使えない」と思い込んでいませんか?
実は、一定の条件を満たせば「単身赴任中でも居住用」とみなされ、控除が適用できるケースがあります。今回は、大阪国税局が公表した事例をもとに、単身赴任の公務員の方にも関係する“誤りやすいポイント”をわかりやすく整理します。
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## 単身赴任中の自宅売却、「自分が住んでない=控除NG」ではない
今回の事例では、転勤のため単身赴任していた夫が、家族と別居していた自宅を売却するケースが紹介されています。
一見すると「本人が住んでいない=居住用ではない」と思いがちですが、税法上はもう少し柔軟な考え方が取られます。
措法35条1項(居住用財産の譲渡所得の特別控除)では、**配偶者や家族が引き続き住んでいる場合、その家は本人にとっても“居住の用に供している”**と見なされるのです。
つまり、転勤などやむを得ない事情で単身赴任している期間でも、
– 家族が引き続き住んでいる
– 赴任が終われば同居する見込みがある
この2点を満たすなら、「居住用」として3,000万円の特別控除が認められます。
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## 注意すべき「形式だけの居住」扱い
ただし、次のような場合は注意が必要です。
– 控除を受けるためだけに一時的に入居した家屋
– 建替え中の仮住まい
– 趣味や別荘など、実質的に生活の拠点でない家屋
これらは「居住の用に供している」とは認められません。
単身赴任や転勤はあくまで“やむを得ない事情”である点がポイントです。
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## 公務員の単身赴任にも関係大
公務員の方は転勤が多く、「数年おきに異動」というのは珍しくありません。
そのため、自宅をどう扱うか——特に「売却」「賃貸」「帰任後の利用」などの判断は、税務上も重要になります。
もし売却を検討する場合は、
– 家族の居住実態
– 赴任の理由と期間
– 帰任予定の有無
これらを整理したうえで、**「居住用財産の特別控除」が使えるかどうか**を確認しておくことが大切です。
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## まとめ:単身赴任でも「家族が住んでいれば」控除OK
単身赴任中であっても、家族が引き続き住んでおり、将来的に戻る見込みがあるなら「居住用」として扱われます。
逆に、「形式的な入居」や「実態のない居住」は認められません。
3,000万円控除の可否は、**“誰がどのように住んでいたか”の実態**で判断されます。
単身赴任の方は、「自分は住んでいないからダメ」と早合点せず、まず専門家に確認を。
正しい理解が、思わぬ税負担を防ぎます。
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クレメンティア税理士事務所
代表税理士・CFP® 一級FP技能士
小林 匠