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任意後見契約はいつ考えるべき?法務省調査から見える「備えを始める年齢」と受任者の実態

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2026.04.02

「まだ元気だから大丈夫」と思っていても、認知症や判断力の低下は、ある日突然ではなく、少しずつ現れることがあります。そんなときに備える制度の一つが「任意後見契約」です。2025年12月に法務省が公表した調査結果からは、実際にどの年代の方が契約を結んでいるのか、また誰を受任者に選んでいるのかが見えてきました。今回は、高齢者の方やそのご家族に向けて、任意後見契約の現状と、考える際のポイントをわかりやすく整理します。

見出し1:任意後見契約とは何か

任意後見契約とは、将来、認知症や障害などで判断能力が十分でなくなった場合に備えて、自分が信頼する人に「代わりにしてもらいたいこと」をあらかじめ決めておく契約です。

大切なのは、本人に十分な判断能力があるうちに、自分の意思で結ぶという点です。しかも、口約束ではなく、公証人が作成する「公正証書」で契約することが法律で定められています。

つまり任意後見契約は、将来への不安に対して、「自分らしい備え」を形にする制度だといえます。

見出し2:実際に契約しているのは何歳くらいの人か

法務省の調査によると、任意後見契約を結んだ本人の年齢で最も多かったのは80代で、全体の40.6%でした。次いで70代が28.8%で、70代以上が全体の81.7%を占めています。

この数字から見えてくるのは、多くの方が70代から80代にかけて任意後見契約を具体的に考え始めているという現実です。

ただ、ここで注意したいのは、「多い年齢」と「最適な準備時期」は必ずしも同じではないということです。任意後見契約は、本人が内容を理解し、納得して結ぶことが前提です。そう考えると、元気なうちに情報収集を始め、家族や専門家と相談しておくことがとても重要です。

見出し3:受任者はどんな年代の人が多いのか

受任者、つまり将来本人を支える立場になる人は、50代が36.3%で最も多く、次いで60代が25.2%、40代が19.5%でした。40代から60代で全体の81.0%を占めています。

これは、本人より一世代ほど若い人が選ばれているケースが多いことを示しています。実務的にも、受任者には継続的な対応力や判断力、そして一定の行動力が求められます。そのため、子世代や信頼できる専門職が候補になることが多いのでしょう。

見出し4:家族だけではなく、専門職を選ぶ時代へ

受任者の立場を見ると、最も多かったのは4親等内の親族で43.5%でした。その中でも「子」が中心です。

一方で、4親等外の親族も含めても、親族全体で50%に届いていません。つまり、任意後見契約では親族以外を受任者にするケースが少なくない、ということです。

ここには、現代の家族事情が表れています。子どもが遠方に住んでいる、家族に負担をかけたくない、親族間で役割分担が難しい、こうした事情は珍しくありません。だからこそ、弁護士、司法書士、税理士などの専門職や、後見支援を行う団体を候補に入れる考え方が現実的になっています。

見出し5:高齢者が今考えておきたい3つのこと

任意後見契約を考える際には、次の3つを意識しておくことが大切です。

まず一つ目は、「誰に任せるか」だけでなく、「何を任せたいか」を整理することです。財産管理、施設入所の手続き、日常生活の支援など、希望を具体的にしておくことで、契約の中身がより実効性のあるものになります。

二つ目は、家族の気持ちも含めて話し合うことです。任意後見契約は本人の意思が中心ですが、家族が内容を理解していることで、将来の混乱を減らしやすくなります。

三つ目は、早めに専門家へ相談することです。制度の内容を正しく理解し、自分に合った形で備えるには、法律や財産管理の知識を持つ専門家の助言が役立ちます。

まとめ:任意後見契約は「不安になってから」ではなく「元気なうちに」

今回の調査からは、任意後見契約を結ぶ本人は70代後半から80代が中心であり、受任者は50代前後の家族や専門職が多いことがわかりました。

ただ、本当に大切なのは、統計上多い年齢を待つことではありません。自分の意思をしっかり反映できるうちに、将来の備えを始めることです。

任意後見契約は、財産を守るためだけの制度ではなく、自分らしい暮らしや安心を守るための準備でもあります。高齢期を穏やかに過ごすために、今のうちから一歩踏み出して考えてみる価値は十分にあるのではないでしょうか。