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令和6年から緩和!被相続人居住用家屋の譲渡特例──公務員が知っておくべき「相続不動産の売却」新ルール

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2025.11.12

「母が住んでいた家を相続してすぐ売却したけれど、取り壊しが翌年になってしまった」──
これまではこのようなケースで「3,000万円特別控除(被相続人居住用財産の譲渡所得の特例)」が使えず、思わぬ税負担が生じることがありました。
しかし、令和6年(2024年)からこの要件が緩和され、譲渡後に買主が家屋を取り壊した場合でも特例の対象になるケースが広がっています。
今回は、公務員の方にも関係する「相続した実家の売却と税制改正のポイント」を整理します。

【これまでのルール:譲渡時に“取り壊し済み”が必須】

以前の制度(令和5年まで)では、次のような制約がありました。

– 被相続人(親など)が住んでいた家を相続した
– その家や土地を売却した
– その際に、**譲渡時点で家が取り壊されていること**

この「譲渡時点で除却済み」という要件のため、
「売却契約後に買主が取り壊す」ケースでは、控除が適用できないという不合理な結果が多く発生していました。

【令和6年からの新ルール:譲渡“後”の取り壊しもOK】

令和5年度税制改正により、令和6年1月1日以後の譲渡から次のように緩和されました。

譲渡の時から**翌年2月15日までの間**に、次のいずれかの状況になれば特例が適用可能です。

① 譲渡後に買主が耐震改修を実施して基準を満たした場合
② 譲渡後に家屋が全部取り壊し・除却・滅失した場合

つまり、**譲渡後に取り壊しが完了していればOK**になったわけです。
従来のように、売却のタイミングを「取り壊し完了後」に合わせる必要がなくなりました。

【特例の適用要件を再確認】

ただし、特例が使えるのは、以下の条件を満たす場合に限られます。

– 被相続人が一人で居住していた家屋である
– 相続開始から譲渡までの間、誰も住んでいない・貸していない・事業に使っていない
– 譲渡時または翌年2月15日までに上記①または②の状態になっている

これらを満たすと、最大3,000万円の譲渡所得控除が受けられます。

【公務員の方に特に伝えたいポイント】

公務員の方の中には、地方勤務などで「実家を相続したけれど、自分は住まない」というケースも多いでしょう。
そうした場合、売却時期の調整や手続きによって、税負担が大きく変わることがあります。

今回の改正によって、
「買主が取り壊すスケジュールに合わせた売却」でも控除を受けやすくなりました。
不動産会社任せにせず、**契約前に税理士などへ相談することが肝心**です。

【まとめ:実家の売却は“税制のタイミング”が鍵】

今回の改正は、「実務の現実に合わせた」緩和です。
これまで適用できなかったケースも、令和6年以降なら3,000万円控除のチャンスがあります。

譲渡契約時点・取り壊し時期・2月15日という期限——
この3つを意識して動くことで、数百万円単位の節税につながることも。

公務員の方も、ご自身やご家族の相続の備えとして、今のうちに確認しておく価値があります。