
二次相続とは何?相続税対策は必要?今から備えるための基礎知識
相続に関する相談の中で、「一次相続は理解しているけれど、二次相続がよく分からない」という声は非常に多くあります。特に夫婦のどちらかが先に亡くなり、その後に残された配偶者が亡くなるケースは避けられないため、多くの家庭にとって現実的な問題です。本記事では、二次相続とは何なのか、なぜ対策が重要なのかをわかりやすく解説します。
結論:二次相続とは、配偶者が亡くなった後に行われる「2回目の相続」のこと
そして、多くの場合、一次相続よりも相続税が高くなるため、事前の対策が必須です。
二次相続とは
二次相続とは、夫婦のどちらかが亡くなった「一次相続」の後、残された配偶者が亡くなることで発生する2回目の相続を指します。例えば、父が亡くなって母と子が相続し、その後に母が亡くなる——これが典型的な二次相続の流れです。
一次相続と違い、二次相続では「配偶者の税額軽減(配偶者控除)」が使えません。一次相続では配偶者が取得する財産に対する相続税が大幅に軽減されるため税額が抑えられますが、二次相続ではその恩恵がなく、課税対象額が増えやすい特徴があります。
なぜ二次相続は税額が増えやすいのか
二次相続で税負担が大きくなる理由は、主に次の3点です。
1. 配偶者控除が使えない
一次相続では配偶者が多くの財産を取得しても相続税がゼロになるケースが多いですが、その反動で二次相続の課税財産が増えます。
2. 相続人の数が減る
二次相続では、子のみが相続人になるため、基礎控除(3000万円+600万円×相続人)が小さくなります。
例)一次相続:相続人が母+子2人 → 基礎控除 3000万+600万×3=4800万円
二次相続:相続人が子2人のみ → 基礎控除 3000万+600万×2=4200万円
3. 財産が母に集中していた場合、課税資産が膨らむ
一次相続で配偶者が大半の財産を取得してしまうと、二次相続でまとめて課税されるため税額が跳ね上がることがあります。
よくある誤解
・「一次相続で税金がかからなかったから、うちは問題ない」
→一次相続で税金がかからないのは珍しくありません。しかし、その裏側で財産が配偶者に集中し、二次相続の税額だけが大きくなるケースは非常に多いです。
・「財産が少ないから対策は不要」
→総額がそれほど多くなくても、“基礎控除が減る” ことで課税対象になる家庭は多くあります。特に不動産を持っている家庭は要注意です。
実務での注意点
実際の現場でよく見られるミスとして次のようなものがあります。
・一次相続で「節税のため」に配偶者にすべて相続させてしまう
・遺産分割協議を先延ばしにして二次相続対策が間に合わない
・不動産の名義変更が一次相続後も済んでおらず、二次相続の手続きが混乱する
・生命保険や預金の受取人が偏っていることで、二次相続時に争いが起きる
二次相続まで見据えて財産を分散しておく、保険や贈与でバランスを調整するなど、計画的な対策が必要です。
専門家ができるサポート
行政書士・税理士などの専門家は次のような支援を提供できます。
・一次相続・二次相続を比較した相続税シミュレーション
・不動産評価や節税対策のアドバイス
・最適な遺産分割案の提案
・家族構成に合わせた遺言書の作成サポート
・生前贈与や生命保険活用のアドバイス
・相続手続き(名義変更、書類作成)の代行
まとめ
二次相続は、多くの家庭で必ず発生するにもかかわらず、一次相続ほど注目されない分、対策が不十分になりがちな領域です。特に税額が大きくなりやすいため、早めの準備が家族の負担を大きく減らします。
「うちはどれくらい税金がかかるのか?」「一次相続の分け方は正しいのか?」などの不安がある場合は、専門家に相談することで最適な方針が明確になります。二次相続を見据えた早めの対策が、家族にとって最も安心できる選択です。