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【事業用定期借地権】借地期間を延長するなら「公正証書」は必須です ――相続後の土地オーナーが見落としやすい実務ポイント――

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2026.01.06

事業用地として貸している土地を相続した後、
「契約期間がもうすぐ終わるので、あと20年延ばしたい」
と借主から相談を受けるケースは、実は少なくありません。

このとき、
「双方合意しているのだから、覚書や合意書で足りるのでは?」
と考えてしまうと、後々大きなリスクを抱えることになります。

結論から申し上げると、
**事業用定期借地権の期間延長には、改めて公正証書による契約が必須**です。

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■ なぜ「延長=新契約」になるのか
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事業用定期借地権は、借地借家法に基づき
・更新がない
・期間満了で終了する
ことを前提に設計された制度です。

そのため「20年延ばす」という行為は、
更新ではなく **新たな借地権を設定する行為** と扱われます。

そしてこの借地権は、
**必ず公正証書で契約しなければならない**
という強い形式要件があります。

もし私文書(覚書・合意書など)だけで済ませてしまうと、
・事業用定期借地権として無効
・普通借地権とみなされる可能性
が生じます。

普通借地権になると、
正当事由がなければ更新を拒めず、
「期限付きで貸したはずの土地が返ってこない」
という事態にもなりかねません。

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■ 公正証書で作成する実務的な意味
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公正証書には、次のような実務上の強みがあります。

・公証人が内容を確認し、証明力が極めて高い
・原本は公証役場で長期保管され、紛失・改ざんリスクがない
・強制執行認諾条項を入れれば、賃料滞納時に裁判を経ず執行可能

特に事業用借地のような長期契約では、
「将来の紛争を防ぐ仕組みを最初に作る」
という視点が極めて重要です。

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■ 相続後オーナーが注意すべきポイント
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今回のように相続をきっかけに契約延長を行う場合、
次の点は必ず再確認してください。

① 貸主からの中途解約は原則不可
→ 20年という長期間、土地が固定されます。

② 借主の与信・事業継続性
→ 途中で倒産した場合のリスクを想定していますか?

③ 敷金の返還原資
→ 敷金は「預かり金」です。
相続により敷金も引き継いでいるか、
返還できる資金を確保できているかが重要です。

④ 契約条件の再点検
→ 賃料改定、中途解約条項、原状回復、損害金など
従来契約が今の状況に合っているかを確認しましょう。

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■ まとめ:延長は「好機」でもあり「覚悟」でもある
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借地期間の延長は、
・長期安定収入を確保できる好機
である一方、
・長期間の拘束とリスクを引き受ける決断
でもあります。

だからこそ、
「合意できているから大丈夫」ではなく、
**法的形式・財務面・相続後の資金管理まで含めて整理すること**
が、土地オーナーとしての重要な責務です。

公正証書の作成は単なる手続きではありません。
将来の安心を買うための“保険”だと考えていただければと思います。

気になる点があれば、
不動産会社や専門家と連携しながら、
一度立ち止まって検討することをおすすめします。