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「申告しなければ分からない」は通用しない ― 地下室に隠した現金が発覚した相続税調査事例 ―

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2026.02.20

「うちは申告が必要なほどの財産はありません」
そう答え続けた相続人。しかし、税務調査は“事実”から積み上げられます。
今回は、被相続人名義口座からの多額出金と、地下室に隠された現金が発覚した事例をもとに、相続人として本当に気をつけるべきポイントを整理します。

## 1.きっかけは「相続開始前の多額出金」

本件は、被相続人名義の預金口座から相続開始前にATMで多額の出金があったにもかかわらず、相続税の申告書が提出されていなかったことが発端でした。

税務署は、
・生前の預金移動
・相続開始前後の資金の流れ
を金融機関への反面調査で把握します。

「口座の存在を答えなければ分からない」
という発想は、残念ながら現実的ではありません。

## 2.虚偽答弁のリスクは想像以上に大きい

長男は、
・出金していない
・申告が必要な財産はない
と曖昧な回答を繰り返しました。

しかし銀行調査でキャッシュカード利用が判明。
さらに再調査で財布からカードが見つかり、地下室に隠された多額の現金が発覚しました。

ここで問題になるのは単なる「申告漏れ」ではありません。

・重加算税(最大40%)
・延滞税
・悪質性が高い場合の刑事責任

「知りませんでした」ではなく、
「必要と分かっていて申告しなかった」と認定されれば、ペナルティは一気に重くなります。

## 3.よくある誤解:「現金にしておけば分からない」

相続のご相談で時折聞くのが、

「現金なら足がつかないのでは?」
「タンス預金なら分からないのでは?」

という声です。

しかし、税務調査は
“今ある財産” ではなく
“過去からの資金の流れ” を見ています。

・預金残高の推移
・ATM利用履歴
・定期的な出金パターン
・生活費との整合性

これらを総合的に見れば、不自然な現金化はほぼ把握されます。

## 4.相続人として本当に大切なこと

相続は「お金の問題」であると同時に「家族の問題」です。

もし今回のように、
・故意に隠す
・虚偽説明を続ける
という行動を取れば、

金銭的損失だけでなく、
家族間の信頼や社会的信用まで失う可能性があります。

相続税は“罰金”ではなく、
適正な財産承継のルールです。

分からないことがあるなら、
隠すのではなく専門家に相談する。

これが結果的に、
一番コストが低く、安心な選択です。

## 5.相続人の皆さまへ

✔ 生前の大口出金がある
✔ タンス預金がある
✔ 申告が必要かどうか分からない

こうした状況にある方は、
「様子を見る」ではなく、一度整理することをおすすめします。

相続は一度きり。
やり直しはできません。

誠実に、正しく、そして将来に禍根を残さない形で。
それがご家族への本当の責任だと、私は考えています。