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「準確定申告」とは何か?相続発生後に必要な税務手続き

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2025.12.16

準確定申告とは?相続発生後に必要となる重要な税務手続きの全体像

人が亡くなると、相続や遺産分割といった手続きが発生しますが、同時に忘れてはならないのが税務上の対応です。その中でも特に重要なのが「準確定申告」です。準確定申告は、被相続人が亡くなった年の所得について行う確定申告であり、期限や手続きを誤るとペナルティが課される可能性もあります。本記事では、準確定申告の基本から実務上の注意点まで、士業の視点を交えて詳しく解説します。

準確定申告の定義と概要

準確定申告とは、被相続人が死亡した年の1月1日から死亡日までに得た所得について、相続人が代わりに行う確定申告のことを指します。通常の確定申告は本人が行いますが、死亡により本人が申告できないため、相続人全員が共同で申告義務を負う点が特徴です。会社員で年末調整が完了していない場合や、不動産所得・事業所得がある場合などは、準確定申告が必要となるケースが多くなります。

準確定申告が必要となるケース

すべての相続で準確定申告が必要になるわけではありません。例えば、被相続人が給与所得のみで年末調整が完了しており、医療費控除などの追加申告が不要な場合は、準確定申告が不要となることもあります。一方で、個人事業主であった場合、不動産収入や株式の譲渡益がある場合、複数の所得源がある場合などは、ほぼ確実に準確定申告が必要です。税理士や行政書士としては、まず被相続人の収入状況を正確に把握することが重要だといえます。

申告期限と提出方法の注意点

準確定申告の最大の注意点は期限です。相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告・納税を行わなければなりません。通常の確定申告よりも期限が短いため、遺族にとっては大きな負担となりがちです。申告書は被相続人の住所地を管轄する税務署に提出し、相続人全員の連署が必要となります。実務上は、代表相続人を定めて進めるケースが一般的です。

準確定申告と相続税申告の違い

準確定申告と混同されやすいのが相続税申告ですが、両者は目的も期限も異なります。準確定申告は被相続人の所得税に関する申告であり、相続税申告は相続財産に対する税金の申告です。相続税申告の期限は相続開始から10か月以内であるのに対し、準確定申告は4か月以内と短いため、優先順位を誤らないことが重要です。社労士や税理士としては、スケジュール管理の重要性を強く意識する場面でもあります。

まとめ:早めの対応と専門家への相談が重要

準確定申告は、相続発生後の限られた期間内に対応しなければならない重要な税務手続きです。申告漏れや期限遅れは、加算税や延滞税といったリスクにつながります。被相続人の所得状況が複雑な場合や、相続人が複数いる場合には、早い段階で税理士や行政書士などの専門家に相談することが、円滑な相続手続きへの近道となるでしょう。