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「名義預金」とは?相続税調査で問題になる理由を解説

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2025.11.17

名義預金とは?相続税調査で問題になる理由を徹底解説

名義預金は、相続税の実務においてもっとも誤解されやすく、かつ税務調査で指摘されやすいポイントの一つです。見た目は家族名義の預金であっても、実質的な所有者が被相続人であると判断されれば、相続財産として課税対象になります。この記事では、名義預金の基本から税務調査で問題になる理由、専門家から見た注意点までわかりやすく解説します。

名義預金の定義と基本的な考え方
名義預金とは、口座名義人と実質的な預金の所有者が異なる状態を指します。たとえば、親が子ども名義の預金口座を作り、管理も入金も親が行っている場合、形式的には子どもの預金でも実質は親の財産と判断される可能性があります。税法では形式よりも「誰のための資金か」「誰が管理していたか」が重視されるため、名義と中身が一致しない預金は相続財産として認定されるリスクが高いのです。

相続税で名義預金が問題となる理由
相続税法は“実質課税の原則”を採用しており、名義だけでは判断しません。そのため、子ども名義であっても、資金の出どころが親、管理していたのも親であれば、税務署は「相続財産」として計上すべきと指摘してきます。特に相続税申告では、名義預金を意図せず申告漏れにしてしまうケースが多いため、調査官が重点的に確認する項目とされています。また、過去の入出金履歴や通帳・印鑑管理者も確認されるため、隠すことはほぼ不可能と言えるでしょう。

名義預金が指摘されやすい典型的なケース
典型的なのは、児童手当を超える金額を親が勝手に子名義口座へ積み立てていたケースや、配偶者名義の預金実態がすべて被相続人の給与・事業収入から成り立っている場合です。さらに、被相続人が通帳やキャッシュカードを持ち歩いていた、引き出しを主に行っていた、などの管理実態も判断材料になります。行政書士や税理士の立場から見ると、日頃の資金管理の癖がそのまま相続税リスクにつながっていることが多く、早期の見直しが不可欠だと強く感じます。

名義預金と生前贈与の違い
多くの人が誤解しやすいのが「子ども名義にお金を入れた=贈与完了」という認識です。しかし、贈与契約は当事者の合意が必要であり、一方的に親が入金しただけでは贈与と認められません。特に子どもが幼少の場合、贈与の意思確認ができないため、税務署は実態として贈与とは見なさず名義預金として扱います。社労士や行政書士としても、生前贈与を適切に成立させるには、贈与契約書の作成や子自身が管理する仕組みづくりが必要であると強調したいところです。

名義預金を避けるためにできる対策
名義預金を防ぐには、まず資金の出どころと管理者を一致させることが重要です。子どもに贈与する場合は、贈与契約書を作成し、子ども本人名義の通帳と印鑑を親とは分離して保管します。家庭内で実質的に管理されていたとしても、形式面・実質面で「子どもの財産である」と示せる証拠を整えることが大切です。また、贈与税申告が必要な場合は必ず申告し、履歴を残しておくことで、後の相続税調査でのリスクを大きく減らせます。

まとめ
名義預金は一見すると家庭内の単なる預金管理に思えますが、相続税調査ではほぼ必ず確認され、課税対象として扱われる可能性が高い項目です。意図せず相続税の負担を増やさないためには、日頃から預金管理を整理し、贈与を行う場合はその形式と実態を整えることが不可欠です。不安がある方や、相続を見据えた対策を進めたい方は、行政書士や税理士など専門家へ早めに相談することを強くおすすめします。